1997 Fiscal Year Annual Research Report
四国地方外帯を特徴づける上部地殻内低比抵抗領域とその成因に関する研究
Project/Area Number |
09740355
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
塩崎 一郎 鳥取大学, 工学部, 助教授 (80221290)
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Keywords | 電気比抵抗 / 四国地方 / 上部地殻 / 外帯 |
Research Abstract |
本研究は,四国地方外帯を特徴づける低比抵抗領域の存在形態を明確にするとともに、その成因を考察することを目的としている。平成9年度は、(1)未調査地域である四国地方西部地域において広帯域MT調査を行い、四国地方の面的データの充実をはかること、(2)既存のデータに対しても再処理(局所的な電場擾乱の除去)を行うことで、より精度の高い2次元構造解析を行うことを中心に研究を進めた。以下に概要を記す。 1.広帯域MT調査地域:四国地方西部において愛媛県松山市(1点)・東宇和郡城川町(2点)・上浮穴郡久万町(2点)小田町(1点)柳谷村(2点)の計8点の観測点を設定し広帯域MT測定装置を用い観測を行った。2.観測点の選定には注意を払ったが、中央構造線沿いの3点のデータは都市部から人工ノイズの影響を強く受けている。夜間の測定値を数多くスタッキングするなど、測定値の精度向上をはかる必要がある。3.それ以外の5点のデータ(いずれも秩父帯上にある)を用いてTE・TM両モードを用いた二次元構造解析を行った.その結果、(a)上部地殻内に数ohm-m程度の比抵抗値を持つ低比抵抗層が存在する,(b)下部地殻の比抵抗値の下限は100ohm-m程度である,(c)プレート上面深度およびプレートの比抵抗値の下限は150から250ohm-m程度であることが明らかになった。4.これらの結果とこれまでの中央部・東部の成果から、四国地方における比抵抗構造の特徴として、上部地殻内に普遍的に低比抵抗層が存在することならびに、地殻深部構造は深度を増すに従い徐々に高比抵抗になることが示された。5.既存データに対する再処理として、東部・中央部のデータのデータベース化を行った。6.本研究の成果は、98年5月末の地球惑星化学関連学会において2編の論文(「四国地方西部における地殻比抵抗構造に関する研究」・「中国・四国地方の電気比抵抗構造と活断層の関連について」)として報告させて頂きます。
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