1998 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋中高緯度大気海洋系の長周期変動に関する研究
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09740362
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 尚 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10251406)
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Keywords | 気候変動 / 大気海洋相互作用 / 海洋前線 / テレコネクション / モンスーン / ストームトラック / 定常ロスビー波 / 親潮 |
Research Abstract |
北太平洋におけるDICE(Decadal/Interdecadal Climate Events;10年規模変動)に伴う海面水温(SST)偏差の詳細な解析を,過去40年間の船舶観測データに基づいて行なった.その結果,DICEに伴う変動は,エル・ニーニョに伴う数年規模変動とは異なり,熱帯では赤道に沿ってあまり強いないこと,中緯度では平均的にSST勾配の強い亜帯・亜熱帯両海洋前線や沿岸域に集中する傾向が初めて確認された.この中緯度の傾向は,DICEにおける海洋大循環のより能動的な役割を示唆するものである.更に,DICEに伴う熱帯のSST変動が亜熱帯前線における変動とは強い同時逆相関を示すものの亜寒帯前線における変動とは同時相関を持たないことが初めて示された.前者のSST変動は海上の亜寒帯高気圧の変動と北東太平洋上空の南北振動を伴うが,後者のSST変動は海上のアリューシャン低気圧の変動と上空のPNA(Pacific/North American)テレコネクション・パターンを伴う.我々が東西非一様流中を伝播する定常ロスビー波に対して初めて定式化した活動度フラックスを適用したところ,PNAパターンに伴ってはフラックスが亜寒帯前線上空で強く発散しており,大気のテレコネクションを通じた熱帯からの遠隔影響でその下のSST偏差が生ずるとした従来の解釈では説明できないことが分かった.寧ろ,北太平洋中高緯度には,そこの大規模な大気海洋相互作用によって独自の10年規模の気候変動が生じていることが初めて観測データから示唆されたのである.観測されたこれらの大気偏差は,海上の風速や気温を弱いながらも持続的に変化させ,乱流熱フラックスや長波放射,海洋混合層の攪拌,エクマン流,大規模風応力の変化を通じて,既存のSST偏差を維持・強化するよう働くことが確認された.また,東シナ海には冬の極東モンスーンの10年規模変調を反映して,独特なSSTの10年規模変動が存在することも初めて明らかになった.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Nakamura 他2名: "Decadal Climate Variability in the North Pacific during the Recent Decades." Bull.Amer.Meteor.Soc.78・10. 2215-2225 (1997)
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[Publications] H.Nakamura 他1名: "Oceans and Climate Shifts" Science. 281. 1144-1144 (1998)
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[Publications] K.Takaya 他1名: "A Formulation of a Wave Activity Flux of Stationary Rossby Waves on a Zonally-Varying Basic Flow." Geophys.Res.Lett.24・23. 2985-2988 (1997)
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[Publications] H.Nakamura 他2名: "The Role of High- and Low-Frequency Dynamics in Blocking Formation." Mon.Wea.Rev.125・9. 2074-2093 (1997)
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[Publications] H.Naoe 他2名: "Rossby Wave Propagation in Idealized and Realistic Zonally Varying Flows." J.Meteor.Soc.Japan. 75・3. 687-700 (1997)
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[Publications] M.Honda 他3名: "Dynamic and Thermodynamic Characteristics of Atmospheric Responese to Okhotsk Sea-Ice Extent Anomalies." J.Climate. 印刷中. (1999)
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[Publications] H.Nakamura 他1名: "“Beyond El Nino:Decadal Climate Variability"第3章" Springer Verlag, 24 (1999)
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[Publications] 中村 尚: "「気候システムの謎に挑む」第3.1章" 東京大学気候システム研究センター, 16 (1998)