1997 Fiscal Year Annual Research Report
地衡流乱流における秩序渦集団の時間発展に関する理論的研究
Project/Area Number |
09740366
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩山 隆寛 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (10284598)
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Keywords | 地衡流乱流 / 秩序渦 / 動的スケーリング則 / 次元解析 |
Research Abstract |
2次元(2-D)乱流中の秩序渦は系の動力学を支配し,エネルギースペクトルの古典理論からのずれや,トレーサーの異常拡散現象などの原因と考えられている.したがって2-D乱流の解明には,秩序渦集団の生成機構,時間発展,相互作用等を研究する必要がある.そこで我々は2-D減衰性乱流中の秩序渦集団の時間発展の理論的・数値的研究を行ってきた(Iwayama and Okamoto,1996;Iwayama,et al.,1997). 本年度は先の研究の地球流体力学的系への応用・発展の第一歩として,f平面上の2次元準地衡流渦位方程式(PV Eq.)に従う地衡流乱流を考察した.この方程式は特徴的な長さλ^<-1>を含むという点で2次元流体の渦度方程式と異なっている.ここでは,特にこの方程式を特徴づけるスケール(λ≫κ,ここでκは波数)に注目した. ・強制乱流の場合 エネルギー逆カスケード機構に伴う系の特徴的スケールおよび渦位の構造関数の時間発展を,Kolmogorov型の次元解析を用いて調べた.渦位場の特徴的長さ,すなわち同符合渦間距離,κ(t)^<-1>,と構造関数のシングルピークの値S_<max>(t)の動的スケーリング則として,それぞれκ(t)〜t^<-3/8>,S_<max>(t)〜t^<7/4>が導かれる.これらの結果はPV Eq.の直接数値シミュレーションの結果ともよく一致した. ・滅衰性乱流の場合 渦の個数Nは合併にともなってN〜t^<-χ>のように代数的に減少していく時,その他の渦の諸量もχで特徴づけられる代数的発展を示す.秩序渦のHamilton動力学的移流を考慮した現象論によりχ=1/2が導かれ、この値はPV Eq.の直接数値シミュレーションの結果と良く一致した.また強制乱流系の研究と同様の手法により,渦位場の特徴的波数(同符合渦間距離の逆数)の動的スケーリング則として,κ(t)〜t^<-1/4>を得た.これは平均渦間距離のスケーリング則l_a(t)〜N^<-1>〜t^<1/4>とコンシステントな結果である.すなわち,スペクトル的記述と物理空間中の秩序渦的記述が定量的に一致することが示された.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Watanebe,H.Fujisaka and T.Iwayama: "Dynamic Scaling Law in the Development of Drift Wave Turbulence" Physical Review E. Vol.55,No.5. 5575-5580 (1997)
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[Publications] T.Iwayama,H.Fujisaka and H.Okamoto: "Phenomenological Determination of Scaling Exponents in Two-Dimensional Decaying Turbulence" Progress of Theoretical Physics. Vol.98,No.6. 1219-1224 (1997)
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[Publications] T.Watanebe,T.Iwayama and H.Fujisaka: "Scaling Law for Coherent Vortices in Decaying Drift-Rossby Wave Turbulence" Physical Review E. Vol.57,No.2. 1636-1643 (1998)
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[Publications] 渡辺威,岩山隆寛,藤坂博一,岡本寿夫: "2次元乱流系における秩序構造形成と動的スケーリング則" 日本物理学会誌. Vol.58,No.3. 156-164 (1998)