1997 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間熱フラックスが大気大循環における長期変動の形式・維持に及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
09740367
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷本 陽一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00291568)
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Keywords | 大気海洋相互作用 / 気候変動 / 海面フラックス |
Research Abstract |
本研究では,平成9年度において新規に精度の高い海面フラックスデータセットを整備することを最大の目的とした.歴史的に収集された一般商船による観測通報は莫大な量に上るため,これを処理するために大容量のデータを高速で取り扱える計算機と記憶媒体を整備した.本研究では,比較的安価ではあるが処理能力はワークステーションに準ずるパーソナルコンピュータと6GBの大容量記憶媒体,データ保存用デバイス,それらを接続するための関連機器を購入した.その他数値演算のソフトウェア,保存用の記憶用媒体を消耗品として購入した. 観測通報資料は合衆国大気海洋庁から提供を受け記憶媒体に保存する.これらの資料は重複や入力ミスの問題が残されているので,大気海洋庁の担当者と電子メイルを介した協力を得て,データセットの整備に耐えうる基本資料の作成を行った. 海面フラックスデータは短波放射,長波放射,顕熱・潜熱フラックスの4成分から求められる.これまでの研究により,基本的な気象要素からそれぞれの成分を見積もる方法は提唱されているが,定説となっているものはない.最近でも,熱帯域における気象海洋観測ブイネットワークで得られた観測データを用いたフラックス推定式が提唱されているが,これらが他の中高緯度海域に適用できるかはさらに検討が必要である.今年度におけるデータセットの作成では,これまでの比較的よく用いられる算出式を用いた.次年度は,新たに提唱されている推定式との比較をしてよりよいデータセットを作成する. また,今年度ではデータセットの一部である大西洋海域のデータを用いて,環大西洋における10年スケールの変動を解析した.これらの成果は近く公表の予定である.
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