1998 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間熱フラックスが大気大循環における長期変動の形成・維持に及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
09740367
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷本 陽一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00291568)
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Keywords | 気候変動 / 10年スケール / 大気海洋相互作用 / 数値モデル / 観測データ |
Research Abstract |
気候変動に対する海洋の役割を解明するためには,大気海洋相互作用の実態を明らかにする必要がある.数値モデルによる大気海洋間の熱・運動量の交換には未だ問題があり,人為的に調整をして数値実験を行っているに過ぎない.これらの問題を解決するには,全球海洋における海面熱フラックスの研究を観測面から充実させる必要があった. 本研究では,全球海洋における海上気象要素の観測値を整備し,旬平均緯度経度2度格子の海上気象要素ー海面熱フラックス・運動量フラックスのデータセットを1950年から1995年にわたって整備した. 実測値に基づいたデータセットを用い,環大西洋域における10年スケール変動について詳しく調べた.熱帯における海面水温場は10年スケール(8-16年)と年々変動(5年以下)のスケールに分離された.10年スケール変動では,海面水温の強い南北傾度が北緯15度と南緯15度付近の間に現れた.一方,年々変動では熱帯全域で同符号の変動を示し南北傾度はほとんど示されなかった.熱帯の強い南北傾度に対する海面気圧場・海面水温場の回帰係数は中高緯度へのテレコネクションを示した.特に北半球の気圧場ではNorth Atlantic Oscillation(NAO)と関連していた.熱帯海面水温の強い南北傾度に伴うラグ回帰は,中高緯度の海面気圧アノマリが南北半球間でほぼ逆位相の関係を持ち10年スケール規模で変動していることを示した.これらの結果は熱帯大西洋の10年スケール変動に対する中高緯度との関連を示唆している.
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[Publications] Y.Tanimoto and S.-P.Xie: "Ocean-Atmosphere Variability over the Pass-Atlantic basin" Journal of the Metrorogical society of Japan. 77・1. 1-16 (1999)
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[Publications] S.-P.Xie and Y.Tanimoto: "A Pass-Atlantic decadal climate oscillation" Geophysical Research Letters. 25. 2185-2188 (1998)