1997 Fiscal Year Annual Research Report
炭素同位体比を用いた地球表層における二酸化炭素循環の研究
Project/Area Number |
09740369
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
森本 真司 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (30270424)
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Keywords | 温室効果気体 / 炭素循環 / 炭素同位体比 |
Research Abstract |
二酸化炭素を構成する炭素の安定同位体比(d13c)は、大気-表層海洋および大気-陸上生物圏の間でCO2が交換される際に異なった同位体分別効果を受けるため、その変動を観測することによってCO2の放出源・吸収源に関する情報を得ることができる。本研究では、西太平洋域で採取された大気試料からCO2濃度とd13Cを分析することにより、西太平洋域におけるCO2濃度とd13Cの変動を明らかにすること、そして得られたデータを用いて地球表層における二酸化炭素循環を定量化することが目的である。 本年度は、高性能質量分析計の調整とCO2試料導入部の製作、炭素同位体比測定用標準ガスの製造とキャリブレーションを行った。まず、質量分析計へのCO2試料導入部を製作した。試料導入部は、パイレックスガラスとステンレススチール製とし、試料導入中に同位体分別が起こらない構造とした。また、できるだけ死容積を減らすことで、d13Cの分析に必要な大気試料量を約250ccまで減少させることに成功した。次にCO2試料のd13Cを0.01パ-ミル程度の精度で分析できるように、質量分析計各部の調整を行った。質量分析によるd13C分析は、相対的な測定方法であるため、d13C値の決められたCO2標準ガスを必要とする。本研究では、国際原子力機関(IAEA)から供給を受けた、あらかじめd13C値が定められた炭酸カルシウムからCO2ガスを製造し、これを一次標準ガスとした。この一次標準ガスを用いて大気から精製したCO2ガスのd13C値を決定し、作業用標準ガスとして使用した。本研究で確立したd13C測定スケールを海外の9つの研究機関と比較したところ、非常によい一致を示すことが確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森本真司: "日本上空における大気中の二酸化炭素の同位体比d13Cの変動" 天気. 44. 379-388 (1997)
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[Publications] 森本真司: "同位体で何が分かるか" 大気の化学. (in press).
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[Publications] Nakazawa,T., S.Morimoto, et al.: "Temporal and spatial variations of the carbon isotopic ratio of atmospheric carbon dioxide in the western Pacefic region" J.Geophys.Res.102. 1271-1285 (1997)