1997 Fiscal Year Annual Research Report
磁気圏低緯度境界でのプラズマ輸送と冷たいプラズマシート
Project/Area Number |
09740372
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 正樹 東京工業大学, 理学部, 助教授 (30242811)
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Keywords | プラズマ輸送 / プラズマシートの生成機構 |
Research Abstract |
我々は、磁気圏尾部のプラズマシートが、太陽風磁場が北向き極性を長く続けて維持する場合に、通常の熱くて薄い(hot and teneous)状態とは異なって冷たく濃くなる(cold and dense)ことを定量的に示した。 本研究では、このプラズマシート状態の切替えが、プラズマ輸送過程の切替えによって引き起こされるのではないかと考え、研究を進めた。つまり、通常の熱くて薄いプラズマシートは磁気圏遠尾部(地心距離で100地球半径)で注入された太陽風プラズマが地球近くまでやってくることによって生成・維持されているのに対し、冷たく濃いプラズマシートは近地球部の低緯度磁気圏境界から太陽風プラズマが冷たいまま注入されるためにつくられるのでは、と考えるのである。 現段階での結果はつぎの通りである。 (1)低緯度磁気圏境界の構造の太陽風磁場極性に対する依存性を調べるために、データベースを構築した。 (2)このデータベースを解析した結果、夕方側の低緯度磁気圏境界について、太陽風磁場が北向きでそれが長く(半日以上)続けば低緯度磁気圏境界の内側に太陽風プラズマが冷たいまま注入されて存在する領域が見つかった。ただし、明け方側に関しては、データベース中に太陽風磁場北向きが長く続く場合が少なく結論できない。 (3)太陽風プラズマが冷たいまま存在する領域が大きな面積に広がるのは、地球から10地球半径以上尾部方向に離れた場合に限られるようである。 (4)10地球半径以内では、太陽風磁場の条件が満たされている場合には確かに通常より冷たく濃い状態が達成されるが、イオンのエネルギー分布は太陽風が直接的な起源であると考えるには無理がある、つまり、プラズマシート状態の切替えはプラズマ輸送過程の切替えのみで起きているのではないらしい。
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[Publications] M.Fujimoto et al.: "Structure of the low-latitude boundary layer" Journal of Geophys.Res.2月号(印刷中). (1998)
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[Publications] M.Fujimoto et al.: "Plasma entry from the flanks of the magnetotail" Journal of Geophys.Res.3月号(印刷中). (1998)