1998 Fiscal Year Annual Research Report
マントルに匹敵する高圧状態でのガーネットとオリビンの塑性特性の解明
Project/Area Number |
09740379
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安東 淳一 広島大学, 理学部, 助手 (50291480)
|
Keywords | マントルのレオロジー / 珪酸塩ガーネット / 高圧塑性 / マルチアンビル型高圧発生装置 / 透過型電子顕微鏡 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究テーマに関して、科研費補助期間中に明らかになったことは以下の様な事である。 1. マルチアンビル型高圧発生装置を利用して、6.5GPaという高封圧状態で、単結晶珪酸塩ガーネット(Py_<20>Al_<73>Sp_2Gr_5)の塑性変形実験を行った。温度条件は室温-1440℃とした。回収試料は透過型電子顕微鏡を用て転位構造の観察を行った。転位のバーガーズベクトルは高角収束電子回折法を用いて決定した。その結果、1)今回の実験条件(6.5GPa・単結晶試料)では、珪酸塩ガーネットの脆性-塑性変形の遷移は1000℃前後で生じる。2)全ての温度領域で1/2<111>{1-10}・ 1/2<111>{11-2}・1/2<111>{12-3}・<100>{010}・<100>{011}のすべり系をもつ転位が観察された。3)観察した転位の大部分は拡張している、事が分かった。2)と3)の結果は、転位の移動に対する障害(パイエルスポテンシャル)を大きくし、珪酸塩ガーネットの塑性強度を大きくしていると考えられる。 2. Py_<100>、Py_5OMj_<50>、Py_<23>Al_<48>Gr_<28>Sp_1、Py_<68>.Al_<18>Gr_<14>Sp_1の4種類の多結晶珪酸塩ガーネットの変形実験を大型放射光施設(Brookhaven National Lab.:USAとSring-8:日本)において、マルチアンビル型高圧発生装置を利用して行った。その結果、珪酸塩ガーネットの塑性強度は、パイロープ組成とメージャライト組成に富むほど、また、封圧が増大する程、大きくなる事が分かった。 3. オリビンの5GPaから10GPaの封圧条件での変形実験を、マルチアンビル型高圧発生装置を利用して進めている。その結果、高圧条件下では、低い圧力条件に比べ、[001]すべりによる転位すべり塑性変形領域が増大する事が分かりつつある。
|
-
[Publications] Weidner D.J.: "Rheology measurments at high pressure and temperature" Geophysical Monograph Series. 101. 473-482 (1998)
-
[Publications] 安東淳一: "マントルのレオロジーに対する実験からのアプローチ" 鉱物学雑誌. 27. 45-56 (1998)
-
[Publications] Takeshita T.: "Progress in the studies of texture development in quartzite" 地質学論集. 50. 21-32 (1998)
-
[Publications] Voegele V.: "Plastic deformation of silicate garnet I." Phys.Earth Planet.Int.108. 305-318 (1998)
-
[Publications] Ando J.: "Evaluation of the non-hydrostatic stress in a multianvil H-P appamtus" Phys.Chem.Minerals. 24. 139-148 (1997)