1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
陶山 佳久 筑波大学, 生物科学系, 助手 (60282315)
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Keywords | 化石花粉 / DNA塩基配列 / PCR / マツ科 |
Research Abstract |
本研究では、主に湿原堆積物中から得られたマツ科樹木の化石花粉を対象として、化石花粉中のDNAのPCR増幅および塩基配列分析を行っている。本年度は、まずその前段階として、化石花粉からの増幅対象とする種特異的なDNA領域の探索を行った。今回はバイカル湖周辺の湿原から得られた化石花粉を分析対象としたため、バイカル湖周辺の現生マツ科6樹種について、葉緑体DNA上の12カ所の領域の塩基配列を明らかにした。その結果、増幅対象としてrbcL遺伝子の一部およびtrnF-trnLスペーサー領域が適していることを明らかにした。つぎに、rbcL遺伝子の一部についてはモミ属21種、トウヒ属20種、マツ属30種、カラマツ属6種について塩基配列を調べ、化石花粉の種同定のために必要な基礎情報を整備した。 実際の化石花粉からのDNA増幅は、これまでに6つの層から得られた化石花粉の合計1065粒について試みた。その結果、14粒の化石花粉から目的部位のDNA増幅部位に成功し、その成功率は1.3%であった。また、これらのうち一部のサンプルについてはその塩基配列を調べ、種の推定を行った。 本年度の成果により、化石花粉から増幅すべき部位が特定でき、その反応のために適した条件が明らかとなった。また、成功率は低いものの、この手法のよる分析が可能であることがあらためて示された。今後はさらに効率の良い分析手法を開発することに着手するとともに、得られたデータをもとに化石花粉の種識別を行い、古植生に関する有用な情報を得ることを目指す。
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