1997 Fiscal Year Annual Research Report
ボニナイトを用いた前弧域スラブ脱水過程の地球化学的研究
Project/Area Number |
09740392
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石川 剛志 静岡大学, 理学部, 講師 (30270979)
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Keywords | 火山 / 沈み込み帯 / 島弧 / 小笠原 / 微量元素 / 同位体 / 前弧 / 地球化学 |
Research Abstract |
小笠原諸島父島の円縁湾累層,旭山累層,三日月山累層からボニナイトおよびボニナイト以外の安山岩,デイサイトを採集した。現在のところ,採集した岩石試料のうちボニナイト7試料,安山岩4試料,デイサイト3試料について簿片記載を行うとともに,主成分元素・微量元素の定量を行っている。現在までに得られた知見は以下の通りである。 1.採集したボニナイトは,SiO2 56.5〜57.9%,MgO 10.3〜17.1%であり,すべて初生マグマに対する必要条件である,FeO*/MgO<1を満たしている。また,薄片観察によると,これらの岩石の石基のガラスは完全に清澄であり,微量元素の定量にも十分耐えられるものであることがわかった。 2.ボニナイトのB含有率は9.6〜22ppm,Nb含有率は0.8〜1.4ppmであった。これらのNb含有率はMORBと同程度であるが,B含有率はMORBより10倍以上高い。これはボニナイトマグマの生成に,沈み込むスラブ由来のBに富むフルイドが関与していることを強く示唆している。B/Nbはボニナイトと安山岩,デイサイトで差が無く10〜21であった。この値は伊豆弧,マリアナ弧の火山フロントの値と同様なものであり,父島の下のマントンには通常の島弧の火山フロントに匹敵する量の,スラブ起源のフルイドが寄与していることが示唆される。 今後はこれらの試料の微量元素分析をさらにすすめるとともに,B,Sr,Nd,Pb同位体比を測定する予定である。また,父島よりもスラブ深度が大きい場所で生成されたと考えられている母島についても試料を入手済みであり,父島との比較研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)