1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740398
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 智樹 九州大学, 理学部, 助手 (20260721)
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Keywords | 宇宙塵 / 惑星間塵 |
Research Abstract |
上層大気(成層圏)で飛行機により採集された惑星間塵の鉱物学的研究を行った。また、惑星間塵は非常に細粒で(直径〜20ミクロン)裸眼では認識不能であるため、写真撮影装置(備品費で購入)を組み込んだ惑星間塵を取り扱う装置(マイクロマニュピュレーター)を自作した。 惑星間塵30粒子の光学的特性を調べた。大部分のものは黒色不定形で表面の凹凸が激しいもであった。一部に表面が滑らかで回転楕円体状のものがあり、これらの粒子は惑星間空間から地球高層大気に突入する際に、大気との摩擦熱で溶融した可能性が高い。次に電子顕微鏡(既設)を用いて詳細な観察と化学組成分析を行った。それによると黒色不定形の惑星間塵は、0.1ミクロン以下の微粒子の集合体であり、微粒子はおもに輝石、カンラン石で炭素質物質を粒間に挟みこんでいることがわかった。針状に成長した硫化物(トロイライト)も含まれている。化学組成は多くものがコンドライト隕石に似た組成、いわゆるCosmic Abundanceを示した。炭素の含有量がCosmic Abundanceよりも多い惑星間塵が複数あった。惑星間塵は一部(5ミクロン四方)を分析してもCosmic Abundanceを示し、このことは惑星間塵を構成する微粒子が非常に均質に混合されていることを示す。 来年度は惑星間塵をウルトラマイクロトームを用いて切断し、その断面を電子顕微鏡(既設)による観察を行う。また、惑星間塵に含まれるヘリウム含有量を質量分析計(既設)で測定し惑星間塵の起源と大気との摩擦熱の影響を考察する。
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