1998 Fiscal Year Annual Research Report
珪酸塩と水蒸気ガスとの反応による含水鉱物形成反応実験
Project/Area Number |
09740402
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
今榮 直也 国立極地研究所, 南極隕石研究センター, 助手 (60271037)
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Keywords | 含水鉱物 / 水蒸気 / 固相-気相反応 / 反応速度 / かんらん石 / 輝石 / 原始太陽系星雲 / コンドライト隕石 |
Research Abstract |
市販の分解容器を改良して珪酸塩鉱物と水蒸気との反応実験を行った。珪酸塩鉱物として、合成のフォルステライト単結晶およびその粉末、合成のエンスタタイト単結晶、天然のかんらん石単結晶、天然の輝石(ブロンザイト)、Allende限石、を用いた。熱力学データを用い、実験は、含水鉱物の安定領域下で最も反応が起きやすいと考えられる230〜250℃、水蒸気圧は22〜25気圧を選んだ。この結果、フォルステライトおよびエンスタタイトの加熱において、含水鉱物を作ることに成功した。その他の出発物質については、現在解析中あるいは現在実験中である。含水鉱物の同定には、主として顕微赤外吸収法、粉末x線回折法、を用いた。反応は、これまで衝突反応の理論によって予測されている速度よりもはるかに遅いことがわかった。しかし、1回の実験につき加熱時間は2ヶ月程度を必要とするため、2ヶ年で行った実験回数は、10回程度と限られた。現段階では最終的な結論は得られておらず、現在も実験は継続して行っている。 実験結果から、原始太陽系での鉱物粒子と水蒸気との反応による含水鉱物形成反応は極めて起こりにくいことが予想される。天然には、炭素質限石などに多くの含水珪酸塩鉱物が存在することはよく知られている。こうした含水鉱物は、限石集積前の個々の鉱物が独立に存在していた状態における水蒸気反応での形成は困難であることを実験結果は示唆している。従って、こうした含水鉱物は限石集積後に形成したと考えられる。このときの水の状態は熱水であったか水蒸気であらたかは、現在行っているAllende限石の水蒸気加熱実験結果から結論できると思われる。
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Research Products
(1 results)