1997 Fiscal Year Annual Research Report
レニウム-オスミウム年代測定法を用いた金属鉱床の生成過程の探索
Project/Area Number |
09740403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 勝彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (70251329)
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Keywords | ロツテンストーン / レニウム-オスミウム法 / 月代 / 鉱化物 / 鉱床 / ブランク / 起源 |
Research Abstract |
本研究での成果は次の2点に分けられるであろう。(1)カナダのRottenstone鉱床のレニウム(Re)、オスミウム(Os)の分析に成功し、Re-Osアイソクロンを得たこと。そこから次の2点が明らかになった。まず、この鉱床が27億年前に生成したこと。次に、Osの初生同位体比から、この鉱床の構成物質がマントルを起源としていることである。また、周辺の2つの硫化物鉱床が地殻物質の混入を受けていることも同時に示された。硫化物鉱床の年代を直接決めた例はもちろん、鉱床の構成物質に関しても直接議論をしている例は少ない。本研究によって、Re-Os年代測定法が鉱床の生成過程を探る上で非常に有効であることが改めて認識された考えている。この成果は昨年のGoldschmidt会議でも報告し、国際雑誌への投稿準備のため、試料採取者であるカナダ地質調査所のDr.Hulbertと最終的なディスカッションを進めている。(2)分析法における問題を解決したこと。鉱床の研究をさらに進めるには、母岩のRe-Os系との比較が非常に有効であることが予想される。しかし、母岩のRe、Osの分析に成功した例は未だない。分析が可能になるためには、まずReのブランクを下げることが必要になる。本研究では、白金リボン、バリウム溶液、フィラメントホルダー中のReブランク、及び、スポットウェルダー、フィラメント焼きだし装置のReメモリーなど、質量分析の過程を入念にチェックし、そのブランクを1pg以下におさえることに成功した。このテクニックに関して、海外からも問い合わせが多く来ていることから、その重要性が海外でも認識されていることがわかる。(1)、(2)の結果を踏まえ、今後さらに多くの鉱床試料の分析データを得て、Re-Os系が鉱床研究に一般的に利用可能にしていく予定である。
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