1997 Fiscal Year Annual Research Report
海水中のラジウムの高感度定量に関する基礎的研究-表面電離型質量分析計による手法-
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09740404
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天川 裕史 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60260519)
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Keywords | ラジウム / バリウム / 海水 / 河川水 |
Research Abstract |
本科学研究費補助金による本年度の研究実績は以下の2つにまとめられる。 1.特殊な形状のフィラメントを作成する治具の設計 ラジウムの効率の良いイオン化には特殊な形状のフィラメントが必要である。こうしたフィラメントを作成する治具の設計を行い、実際に制作した。この治具で作成したタングステンフィラメント上にラジウムを塗布しイオン化を行うと、通常のフィラメントに比べ僅かではあるがイオン化効率の向上(10%程度)が認められた。 2.海水中のバリウムの定量 バリウムはラジウムと地球化学的挙動が類似しているものと考えられている.そこで、バリウムの定量を白鳳丸のKH-96-5次航海(主にインド洋)で採水した試料(5地点)及びタイのチャオプラヤ川の河川水試料(季節が異なる3種類のものを採取)に関して行った。尚、定量にはICP質量分析計を用いた。一部の試料に関しては別に200リットルの採水を行い、そこからラジウム-226を分離、精製し放射能測定による定量を行いバリウムの濃度との比較を行った。 各々の地点のバリウムの濃度の深さ方向のプロファイルは、いずれも深さ方向に増加するいわゆる栄養塩型のものとなった。しかしながら表層と深層の濃度差については、典型的な外洋とアンダマン海や南シナ海に代表される閉鎖海盆では大きな相違が認められた。一方、河川水試料に関しては季節間の顕著な濃度変化が認められた。 又、海水試料に関してはラジウム-226とバリウムの間には良い相関が認められる。これは従来の結果と調和的である。しかしながら、河川水試料に関しては両者の相関は殆ど認められなかった。これは、ラジウム-226とバリウムの挙動は海洋においては極めて類似しているが、河川においては大きく異なる事を示唆している。
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Research Products
(1 results)