1997 Fiscal Year Annual Research Report
大陸縁辺域の岩石中に見られる古大陸起源物質の年代学的・地球科学的研究
Project/Area Number |
09740407
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 知治 九州大学, 理学部, 助手 (30281190)
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Keywords | ジルコン / ウラン-鉛年代 / 供給源 / 三郡変成岩 / 19〜20億年 |
Research Abstract |
日本列島の基盤を構成する変成岩のなかで,三郡変成岩は九州北部から山陰地方にかけて東西に分布する日本最古の変成帯を形成する.その中の砂質片岩は大陸地殻起源物質が堆積し変成作用をうけた岩石で,副成分鉱物としてジルコンを含む.一般にジルコン結晶中にはウランが含まれ,時間経過とともに一定の割合で鉛に壊変する.そのためジルコン中のウランと鉛を定量すれば,その結晶化した年代がわかる.ジルコンが晶出する岩石は花崗岩のような酸性の火成岩に限られ,物理・化学的影響を受けない.したがって堆積岩そして変成堆積岩に含まれるジルコンから,その供給源の岩石種や晶出年代を知ることができる. 九州北部に分布する三郡砂質片岩は主に19〜20億年の年代を示す砕屑性ジルコンを含む.この結果は2億年前に変成した三郡砂質片岩が19〜20億年前の花崗岩を中心とした大陸地殻を供給源に持つことを示す.その供給源として考えられる韓国の先カンブリア紀の変成岩についてジルコンを分析したところ,やはり19〜20億年の年代を示した.しかし韓国産のジルコンも形態的特徴から砕屑性だと考えられ,この岩石は三郡変成岩の供給源ではなくむしろ同じ供給源を持つ変成堆積岩であると考えられる.一方,三郡変成岩についてジルコンのウラン-鉛年代の測定を続けた結果,山陰地方の異なる2地域から19〜20億年の年代が得られた.この結果,ほとんどの三郡砂質片岩は19〜20億年前の大陸地殻を供給源にもつと考えられる.さらに隠岐に産する飛騨片麻岩からも同じ年代の砕屑性ジルコンが産するため,日本列島をはじめとする東アジア縁辺域において,大陸地殻の成長の中心となる地質体を構成するに至る物質は19〜20億年前の大陸地殻を供給源にもつと考えられる.
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