1997 Fiscal Year Annual Research Report
岩石変質に伴うアルナイト生成過程におけるランタノイド元素の挙動
Project/Area Number |
09740409
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
木川田 喜一 上智大学, 理工学部, 助手 (30286760)
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Keywords | ランタノイド / アルナイト / 変質 / 二次鉱物 |
Research Abstract |
本年度は群馬県草津白根火山地域産出のアルナイト天然試料の分析と,反応装置の設計を中心に行った.主な成果は以下の通りである. 1.中性子放射化分析法によりアルナイト中のランタノイド元素を定量する場合,アルナイトの主構成元素であるナトリウムの存在が微量のランタノイド元素の定量を阻害するが,アルミニウム共沈法を用いたナトリウムの分離とランタノイド元素の事前濃縮を適用することにより,定量精度の改善が認められた. 2.アルナイト天然試料として,群馬県草津白根火山地域の3地点で採取された4試料のランタノイド元素を定量した.何れの試料もランタノイド元素パターンで見て軽ランタノイドに富んでおり,そのパターン形状は採取場所によらず類似していた.また,アルナイト生成の母岩と考えられるこの地域の安山岩質溶岩とは明らかに異なるパターンであった.この結果は,岩石の変質に伴うアルナイトの生成時に,特有のランタノイド元素の分別現象が存在することを示している.さらに,アルナイト試料に含まれるアルカリ金属の種類と割合によって,ランタノイド元素パターンに微妙な違いが生じる可能性が見いだされ,アルナイト生成に伴うランタノイド元素分別現象とアルナイトの化学組成との間の相関性が示唆された. 3.アルナイトの合成実験を行うに先立ち,予備実験を重ね,テフロン内筒の100ml容積の反応装置を最終的に製作した。これにより,200℃,100気圧下で,硫酸アルミニウムと硫酸カリウムを原料としたアルナイトの合成実験に成功した.今後,この反応装置を用いて,ランタノイド元素を添加した系でのアルナイトの人工合成を試みる.
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