1997 Fiscal Year Annual Research Report
孤立分子系コヒーレント超高リュードベリ状態のパルス電場による寿命制御
Project/Area Number |
09740421
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
佐藤 信一郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (10262601)
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Keywords | 孤立分子 / コヒーレント / 超高リュードベリ状態 / パルス電場 |
Research Abstract |
申請者らは、ゼロ運動エネルギー(ZEro Kinetic Energy,ZEKE)光電子分光法と呼ばれる、新しい超高分解能レーザー光電子分光法を用いて、超音速ジェット冷却された分子の断熱イオン化ポテンシャルの精密決定や、分子カチオンの構造研究を進めている。ZEKE光電子分光法の原理は、パルスレーザー光により、分子をイオン化状態より数cm^<-1>以内の低波数側に存在する主量子数nの非常に大きい高リュードベリ状態(n>100)(以下、超高リュードベリ状態という)に共鳴多光子励起し、数マイクロ秒後にパルス電場により、超高リュードベリ電子をパルス電場イオン化(Pulsed Field Ionization,PFI)するとともに電子増倍管へ導くものである。このために、ZEKE光電子分光法は、ZEKE-PFI分光法と呼ばれることも多い。 申請者らは、独自に開発した、パルス電場を2つ用いる2段階パルス電場イオン化(2PFI)法を用いて、ZEKE-PFI分光をおこなっている。2PFIでは、レーザー励起直後に弱いパルス電場により、電場イオン化以外の機構で発生した電子を省き、第二のパルス電場でPFI電子のみを選択的に集めることができる。このことは、超高リュードベリ状態のダイナミクスを調べる上で大きな利点である。また二つのパルス電場の相対強度を調整することにより特定のエネルギー領域の超高リュードベリ状態を選択的に検出することも可能である。2PFI法により、多原子分子においてRydberg系列間でエネルギー移動が起きることを新たに見出した。
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Research Products
(1 results)