1998 Fiscal Year Annual Research Report
超高速溶媒和ダイナミクス:スペクトルの不均一幅緩和の分子機構
Project/Area Number |
09740431
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西山 桂 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40283725)
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Keywords | 溶媒和ダイナミクス / 超高速分光 / ホールバーニング / 均一幅 / 不均一幅 / 拡散過程 |
Research Abstract |
本研究の目的は「溶媒和ダイナミクスにおいてスペクトルの不均一幅の緩和機構を溶質・溶媒分子の電子状態・分子構造に基づいて理解する」ことである。平成9年度には溶質・溶媒ともに極性を有する系に関して実験的研究結果を蓄積し、スペクトルの不均一幅の緩和には溶媒分子の並進拡散の緩和モードが重要であること、および系の平均エネルギーの緩和には溶質近傍の溶媒分子の素早い回転拡散(あるいは慣性項)の寄与が大きいことを見い出した。そこで平成10年度は、これまで報告例がきわめて少ない無極性系の緩和ダイナミクスに関して検討した。 無極性溶質フリーベースポルフィリンを用い、極性および無極性溶媒中における過渡的ホールバーニング分光を行って不均一スペクトル幅緩和を調べた。極性溶媒テトラヒドロフラン中でのスペクトル幅の時間発展から求めた緩和の動的応答関数ρ(t)は、励起後数ps以内に約80%緩和したのち、緩和が完了するまで更に数10psを要した。また平均緩和時間τ〜6psと求められた。このようなρ(t)の振舞いは、本研究代表者が以前報告した極性色素を用いて同じ溶媒中で観測した結果とよく一致している。以上の実験結果は、不均一幅の緩和過程には溶質-溶媒分子間の誘電的な相互作用よりもむしろ溶媒-溶媒分子間相互作用が重要であることを示唆している。一方無極性溶質-無極性溶媒シクロヘキサンを用いた場合には、τ〜25psと求められ、極性溶媒中よりも緩和がかなり遅いことが明らかとなった。溶質・溶媒ともに無極性の場合には、多極子の生成を含む溶質電子状態変化が緩和のトリガーとなり、溶媒分子の分散力による緩和過程が重要であるものと考えられる。 以上の実験的研究と並行して、積分方程式理論に基づいた相互作用点モデルを用いて緩和過程を理論的に検証するためのフォーマリズムの構築を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Nishiyama,T.Okada: "Relaxation Dynamics of Inhomogeneous Spectral width in Binary Sdvents Studied by Transist Hole-Burning Spectroscopy" J.Phys.Chem.A. 102. 9729-9733 (1998)
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[Publications] K.Nishiyama,T.Honda,H.Reis U.Muller,K.Muller,W.Baumam,T.Okada: "Electoronic Structures of 9.10. Anthrylene Diniers and Trimers in Solution:Formation of Charge Separation Depending on Alkyl Substitued Groups" J.Phys.Chem.A. 102. 2934-2943 (1998)
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[Publications] K.Nishiyama,T.Honda,T.Okada: "Formation of a Complete election Transfer State of 9,9‘-Biarthryl in a po;ar solvent" Acta Physica polonica A. 94. 847-856 (1998)
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[Publications] S.Higashida, K.Nishiyama他5名: "Synthesis and Photoinduced Electron Transfer of Pyromellitimide-Linced porphyrin in Corstrained Hydrophobic" Chem.Lett.(印刷中).
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[Publications] S.Higashida,K.Nishiyama他7名: "Synthesis of Copolymers containing C_<60>,Cyclododecyl,and Sulfonate Groups" Chem.Lett.5. 382-382 (1998)