1997 Fiscal Year Annual Research Report
発光-フラグメントイオンコインシデンス測定で見る超励起分子の解離ダイナミクス
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09740435
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古屋 謙治 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (70229128)
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Keywords | 電子衝撃 / 反応素過程 / 超励起分子 / 発光 / エチレン / コインシデンス測定 / 解離性イオン化 / アセチレン |
Research Abstract |
本研究では種々の分子を電子衝撃により励起し、生じた発光とフラグメントイオンの相関を観測することによって発光を伴う解離性イオン化過程のダイナミクスについて理解を深めていくことを目的としている。本研究費によって装置開発に必要な物品をほとんど揃えることができ、電子衝撃による発光-フラグメントイオンコインシデンス測定装置を世界で初めて完成させることができた。本装置ではイオンの引き込み電場が弱いために、コインシデンスバンドの線型解析からイオンの並進エネルギーを見積もることが容易であるという特色を持つ。一方、大きな並進エネルギーを持つイオンを取りこぼす割合が大きいが、この欠点はイオンの並進エネルギーと装置の幾何学的大きさを考慮したモンテカルロ計算によって補うことができ、既にプログラムの開発も終了している。この装置を用いてエチレン分子について測定し、CH(A-X)発光がH^+イオンやCH_2^+イオン、CH^+イオン、C^+イオンと相関していることを実証した。さらに、バンドの線型を解析することによって各イオンの平均並進エネルギーを見積もり、これらの情報に基づいてエチレンの発光を伴う解離性イオン化について議論した。この結果の一部は現在投稿中である。エチレン以外にもメタン、アセチレン、四弗化メタン、亜酸化窒素について測定しており、今回開発した装置が種々の分子に適用できることを確認すると同時に、これらの分子の発光を伴うイオン化過程についても次々と新しい実験事実を得ている。本研究は予定通り順調に進行している。
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