1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属を内包したフラーレンの構造と特性の予測方法の確立と生成機構の理論的研究
Project/Area Number |
09740436
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 郁 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30285093)
|
Keywords | 金属内包フラーレン / ab initio分子軌道法 / 密度汎関数法 / IPRフラーレン / 七員環入りフラーレン / 隣接五員環 |
Research Abstract |
(1)M@C_<82>(M=Ca,Sc,Y,La)の構造決定 いずれの金属もC_<82>のC_<2v>ケージに内包された構造が最安定になることを、理論計算により予測した。9つの安定なフラーレン異性体のうち、このケージは空フラーレンでは極めて不安定だが、内包金属からフラールンに電子が移動した状態と等しいアニオンフラーレンでは最安定となる。この構造は、ごく最近のSc@C_<82>のMEM法によるX線構造解析で確認され、安定な金属内包フラーレンが単離されていることがわかった。これらは、金属と炭素のかたまりが冷えていくアニーリングの生成過程で、安定なケージ構造に異性化することを示している。以上のことから、単離される安定な金属内包フラーレンの構造は、アニオンフラーレンの安定性から予測できることを提案した。 (2)Ca@C_<72>の構造決定 単離される空フラーレンは、互いに離れた五員環と六員環からできている(IPRフラーレン)。しかし、(1)は金属内包フラーレンの構造や異性体の安定性が必ずしも空フラーレンと一致しないことを示している。その一例として、空フラールンにはない新しいケージ構造をCa@C_<72>で見つけた。この構造は、IPRフラーレンよりも安定で、七員環や隣り合った五員環をもつ初めてのケージ構造である。
|
-
[Publications] K.Kobayashi et.al.: "Structures of the Ca@C_<82> Isomers.Theoretical Prediction" Chem.Phys.Lett.274. 226-230 (1997)
-
[Publications] S.Nagase et.al.: "Structural Study of Endohedral Dimetallofullerenes Sc_2@C_<84> and Sc_2@C_<74>" Chem.Phys.Lett.276. 55-61 (1997)
-
[Publications] K.Kobayashi et.al.: "Endohedral Metallofullerenes.Are the Isolated Pentagon Rule and Fullerene Structures Always Satisfied?" J.Am.Chem.Soc.119. 12693-12694 (1997)
-
[Publications] T.Kato et.al.: "Chemical Reactivities of Endohedral Metallofullerenes" J.Phys.Chem.Solids. 58. 1779-1783 (1997)
-
[Publications] K.Kobayashi et.al.: "Structures and Electronic States of M@C_<82>(M=Sc,Y,La,and lanthanides)" Chem.Phys.Lett.282. 325-329 (1998)
-
[Publications] S.Nagase et.al.: "Recent Advances in the Structural Detarmination of Endohedral Metallofullerenes" J.Comp.Chem.19. 232-239 (1998)