1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属クラスターの微視的溶解過程と反応機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
09740439
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 健朗 東京都立大学, 教養部, 助教授 (40202254)
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Keywords | 非経験的分子軌道計算 / アルカリ金属 / クラスター / 溶媒和電子 / 赤外吸収スペクトル / 光電子スペクトル / 水素発生反応 |
Research Abstract |
非経験的分子軌道計算により、1.Li,Naの2量体、3量体の水、アンモニアへの溶解と水素発生反応の解析、2.課題1へのオキソニウムイオンの関与の解析を目的に研究している。まず溶解を実験的に捕まえる指標を探るため、水クラスターへLiの溶解による水和Li^+イオンと水和電子の2中心状態の生成を赤外スペクトルから示せるか検討した。その結果、[Li(H_2O)_8]では、局在化した水和電子の存在を特徴的付ける振動として3483cm^<-1>に、孤立した水分子のv_3の赤外強度の計算値を1としたとき約36倍も強いバンドが存在することが分かった。この振動は水に囲まれた電子雲が第二層の水の振動で揺さぶられるものであり、イオン化により消滅することからも中性クラスター中での2中心状態形成を裏付けている。課題1では最近測定された[Na_2(NH_3)_n]^-の光電子スペクトルを解析し、(1)[Na_2]^-の光電子バンドの第一バンドは^1Σ_g、第二バンドは^3Σ_uへの遷移に帰属されるが、第三バンドのエネルギー附近には^3Π_u,^1Σ_uが偶然縮重して存在する。n=1,2では片方のNaにNH_3が結合した構造での^3Σ_u、^1Σ_u、^3Σ_gに由来する状態への遷移に第二から第四バンドが帰属できる。(2)溶媒和によるNa-Na距離の変化と電子分布から、Na--Na^+(NH_3)_n^-型の電子構造に徐々に変化している、などを明らかにした。Li_2との比較も進めた。課題2については、(1)Na原子と水との反応で中性の水素原子が脱離する反応は生成物の一つであるNaOHがNaに水の酸素、OHに水素を向ける構造で水和エネルギーを稼ぐが、中間の水和Na原子クラスターが安定なため少なくとも4つの水分子まででは反応が進行しない。(2)一方、オキソニウムイオンからNaへ正電荷が移動し水素原子が脱離する場合は、水和Na^+イオンの安定化が大きく水一分子でも生成系の方が安定であるなどが分かった。この他、クラスターの構造異性体探索のためのab initioモンテカルロ法のプログラムを作成した。
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Research Products
(1 results)