1997 Fiscal Year Annual Research Report
高極性溶媒中で特異的に長寿命なエキサイプレックスの電子状態
Project/Area Number |
09740441
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 千佳 北里大学, 理学部, 講師 (50265732)
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Keywords | 光化学 / 励起状態 / エキサイプッレクス / 蛍光 / 電子状態 / 光音響分光法 / 電子移動 |
Research Abstract |
励起錯体(エキサイプレックス)は一般的に高極性溶媒中では安定に存在し得ないと考えられていたため、エキサイプレックス状態そのものに対する従来の研究は無極性あるいは低極性溶媒中で行われてきた。最近、申請者らの研究室で高極性溶媒であるアセトニトリル中でも極めて安定な数種のエキサイプレックスが見い出された。このようなエキサイプレックスに対する、基礎的な研究を進めた結果、高極性溶媒中でもエキサイプレックスを構成する分子間の電荷移動相互作用が弱く、双極子-双極子相互作用が強いことが明らかになった。 このようなエキサイプレックスの電子状態や構成分子間の相互作用をより詳細に検討するためには、エキサイプレックス形成に伴う過渡的な体積変化を評価できる光音響分光法(PAS)の温度効果が有効な手段である。PAS信号の測定では、圧電素子の種類(略称でPZT、PVF_2、ZnO等)やその形状(円筒形、ディスク形、チップ形等)およびそのサイズ、そして圧電素子をサンプルセルに取り付ける位置などが測定精度に非常に大きな影響を及ぼす。本年度は、本研究室所有のピコ秒レーザーシステムによるPAS信号の測定に最も適した圧電素子の種類・形状・サイズ・取り付け位置などを、数種のサンプルセルの試作を行いながら検討した。また、PAS測定に適している低雑音プリアンプ(本年度購入)やデジタル遅延パルス発生器(本年度購入)を用い、検出部の精度および感度の向上も行っている。
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