1998 Fiscal Year Annual Research Report
高極性溶媒中で特異的に長寿命なエキサイプレックスの電子状態
Project/Area Number |
09740441
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 千佳 北里大学, 理学部, 講師 (50265732)
|
Keywords | 光化学 / 励起状態 / エキサイプレックス / 蛍光 / 電子状態 / 光音響分光法 / 電子移動 |
Research Abstract |
本実験は、高極性溶媒中でも極めて安定なエキサイプレックスの電子状態や構成分子間の相互作用をより詳細に検討するために、エキサイプレックス形成に伴う過渡的な体積変化を、光音響分光法の温度効果の実験によって調べることを目的としている。研究2年目となる本年度は、主に、初年度に引き続いて光音響信号の検出感度や測定精度の向上に努めた。 まず、初年度に引き続いて光音響セルの改良を行った。光音響セルは光音響分光の実験精度を決める極めて重要な因子である。数種のセルの試作・実験から、本研究に最も適したセルは、励起光を正面で受け、サンプル通過後の光はアルミミラーあるいは誘電体ミラーで跳ね返し、光音響信号はそのミラーの裏面に押し付けたセンサーで受信する構造であることがわかった。また、光音響信号は測定装置のアライメントに非常に敏感で大きな影響を受ける。そのため、セルを固定して、アライメントを変えない状態でサンプル溶液の交換を行うことが、精度の高い実験を行う上で必須である。よって、セルはフロー系とした。フロー系には、溶質を追加して試料の濃度を変えることができるという大きな利点もある。さらに、正しく光音響信号を捉えているかどうか確認するためにセル厚も容易に変えられるようにした。 以上のように設計・作成した光音響セルを用いて、光音響実験で標準物質として一般的に使われているフェロセンのアセトニトリル溶液で、光音響信号を測定した。さらに、温度効果の実験は、光音響セルと恒温水循環型恒温層を組み合わせて行う方向で検討している。
|