1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740443
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中嶋 敦 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30217715)
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Keywords | クラスター / 半導体 / 光電子分光法 / 電子状態 / HOMO-LUMOギャップ / ハロゲン原子 |
Research Abstract |
本研究では、半導体物質における電子物性をマイクロクラスターの生成を出発点として、光イオン化法や光電子分光法などからイオン化エネルギーや電子親和力などの物性値を調べて電子物性を定量的に追跡し、多成分間の電子的、幾何的な複合作用を明らかにしようとしている。特に、これらクラスターを気相中で負イオン化することにより、その負イオンの光電子分光によって中性クラスターの電子状態を明らかにできる。また、1価電子が欠落したハロゲン原子を付加させて、クラスター骨格の電子を脱離させて光電子スペクトルを測定し、電子状態の同定を実験的に行なった。 対象には、ゲルマニウムクラスター、および酸化ゲルマニウムクラスターを選び、その電子構造を新たに開発したハロゲンドープ法によって調べ、HOMO-LUMOギャップを明らかにした。このゲルマニウムクラスターは、微細化による量子サイズ効果によって可視発光(^〜2,3_eV)を示すといわれている系である。本研究の結果、ゲルマニウムクラスター自身のHOMO-LUMOのギャップは1.0_eV以下であり、ゲルマニウムクラスター単体では可視発光を示し得ないことを明らかにした。また、酸化ゲルマニウムクラスターでは、酸素原子が欠損したクラスターでHOMO-LUMOギャップが大きいことがわかり、可視発光にはクラスター表面の酸化物層が起因していると結論した。今後、ゲルマニウムクラスターの表面酸化による電子状態変化を調べるとともに、そのクラスターの蒸着による発光スペクトル測定を進めていく予定である。また、種々の異なる元素の組み合わせによる化合物半導体への展開を行なうことを計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Negishi, A.Nakajima, 他: "Photoelectron Spectroscopy of Germanium-Fluorine Binary Cluster Anions:the HOMO-LUMO gap estimation of Gen clusters" Chemical Physics Letters. 269(3,4). 199-207 (1997)
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[Publications] K.Judai, A.Nakajima, 他: "Formation of Vanadium-arene Complex Anions and Their Photoelectron Spectro scopy" Chemical Physics Letters. 270(1,2). 23-30 (1997)
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[Publications] M.Hirano, A.Nakajima et al.: "Effect of Ring-Substituents on Formation Rates for Vanadium-Arene Clusters." Journal of Physical Chemistry A. 101(27). 4893-4899 (1997)
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[Publications] T.Yasuike, A.Nakajima, 他: "Why do only vanadium atoms form multiple-decker sandwich clusters with benzene molecules?" Journal of Physical Chemistry A. 101(29). 5360-5367 (1997)
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[Publications] R.Kishi, A.Nakajima, 他: "Geometric and Electronic Structures of Silicon-Sodium Binary Clusters I.Ionization Energy of Sin Nam" Journal of Chemical Physics. 107(8). 3056-3070 (1997)
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[Publications] A.Nakajima, K.Kaya, 他: "Multiple Dumbbell Structures of Vanadium-C_<60> Clusters" Journal of Chemical Physics. 107(16). 6491-6494 (1997)