1997 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下におけるアルコール-水二成分溶液のクラスター構造とダイナミクス
Project/Area Number |
09740444
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高椋 利幸 福岡大学, 理学部, 助手 (70291838)
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Keywords | 二成分溶液 / メタノール-水 / エタノール-水 / 1-プロパノール-水 / 2-プロパノール-水 / X線回折測定 / クラスター構造 / 水素結合 |
Research Abstract |
アルコールモル分率0.0【less than or equal】X_A【less than or equal】1.0メタノール-水、1-プロパノール-水および2-プロパノール-水二成分溶液を調整し、常温常圧におけるX線回折測定を行った。X線回折測定には、イメージングプレート検出器を利用した迅速広角X線回折装置を用いた。メタノール-水系に対して得られた動径分布関数から、メタノールモル分率X_Mの増加にともなって、2.8Åに現れる直線的な水素結合0・・・0に帰属されるピークが減少することがわかった。また、バルク水の第3近傍相互作用に帰属される7.0ÅのピークはX_M=0.6においても顕著に観測された。これまで研究したエタノール-水系の場合、バルク水の第3近傍相互作用のピークはX_E=0.2までしか観測されなかったことから、炭素鎖がひとつ少ないメタノール分子の方がバルク水の3次元構造に入り込みやすいことが明らかになった。さらに、メタノール-水系で得られた動径分布関数に対する定量的解析の結果、X_Mの増加にともなって直線的な水素結合の数nが、n=3.10(X_M=0.0)からn=1.69(X_M=1.0)へ徐々に減少した。nの変化には、X_M=0.3ならびに0.7付近で変曲点が見られ、クラスター構造の変化が示唆された。これらの結果は、混合エンタルピー値の変化および分子研西教授らによるマススペクトル法の結果とよく一致した。これらのことからメタノール-水系では、X_Mの増加にともなって、バルク水の3次元構造中の水分子がメタノール分子によって置換され、鎖状メタノールクラスターへ変化することが結論された。これらの成果を7th Asian Chemical Congress(Hiroshima),第20回溶液化学シンポジウム(宇治)など3つの学会で報告した。その他の系については、現在解析中である。また、これらの系に対する高温高圧下でのX線回折測定ならびにNMR緩和測定の準備中である。
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