1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子変調法を用いた短寿命分子/イオンの遠赤外レーザーサイドバンド分光
Project/Area Number |
09740449
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
尾関 博之 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所・分子構造研究系, 助手 (70260031)
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Keywords | 遠赤外分光 / レーザーサイドバンド法 / 分子変調法 / 二重変調法 / アミノラジカル |
Research Abstract |
平成9年度は本研究の第一年度にあたるので、分子変調法を行うための装置系の整備をまず行った。具体的には分子変調法として放電変調およびZeeman変調を対象にした。ファクションジェネレーターの出力を電力増幅器にいれ、必要な電力まで増幅した後放電変調においては昇圧トランスを、Zeeman変調においては整流ダイオードをつなぎそれぞれの変調がかけられるようにした。しかしこれら分子変調法のみでは光源由来の雑音を回避できるまでに変調周波数をあげるのは困難であったため、かわって周波数変調法とこれらを組み合わせる'二重変調法'を採用することにした。高分解能遠赤外分光で二重変調法を用いるのは初めての試みである。ヒドロキシルラジカルの既知の吸収線を用いて試験的に測定したところスペクトルのベースラインはほとんど平坦となり、周波数変調のみのときに問題になったスペクトルのひずみによる実行感度の低下は解消された。そこでこの方法の実用性を示すため、アミノラジカル(NH_2ラジカル)についてZeeman変調を組み合わせた二重変調法でスペクトル線の測定を行った。そして遠赤外領域にくる回転線の遷移周波数を誤差1MHz程度ではじめて決定することができた。これまでに得られているマイクロ波領域のデータと併せて解析することによりこのラジカルの分子定数の大部分を精密に決定した。この結果を基にすると、主要な回転線についてはその遷移周波数を1MHz程度の誤差で予想することがはじめて可能になった。現在この結果については投稿準備中(J.Mol.Spectrosc.の予定)であり、さらに他の分子についてもこの手法を用いた実験を進めているところである。
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