1998 Fiscal Year Annual Research Report
分子変調法を用いた短寿命分子イオンの遠赤外レーザーサイドバンド分光
Project/Area Number |
09740449
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
尾関 博之 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所・分子構造研究系, 助手 (70260031)
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Keywords | 遠赤外分光 / レーザーサイドバンド法 / 分子変調法 / 二重変調法 / アミノラジカル / メテレンラジカル |
Research Abstract |
平成10年度は本研究の最終年度にあたる。初年度に引き続きZeeman変調と周波数変調を組み合わせた二重変調法をもちいて、基本的なラジカル分子を対象に分光実験を行った。まずアミノラジカル(NH_2ラジカル)についてZeeman変調を組み合わせた二重変調法でスペクトル線の測定を行った。この分子は基本的な3原子分子であるにもかかわらず、その軽さから主要な回転線はほとんどが遠赤外領域にくる。そのため従来のマイクロ波分光法では測定可能な回転線の本数が限られ、超微細構造は説明しても、回転部分や微細相互作用の有効定数を全て決めるところまではできなかった。遠赤外領域での分光はフーリエ分光の報告があるのみだが、測定誤差が数十MHzと大きく、超微細構造までを説明する遠心力補正項まで含めた「完全な」分子定数はこれまで求められていなかった。本研究では遠赤外領域にくる十本近い回転線の遷移周波数を誤差1MHz程度ではじめて決定することができた。そして、これまでに得られているマイクロ波領域のデータと併せて解析することによりこのラジカルの分子定数の大部分を精密に決定した。この結果を基にすると、主要な回転線についてはその遷移周波数を1MHz程度の誤差で予想することがはじめて可能になった。この結果はJ.Mol.Spectrosc.に掲載された。また次にアミノラジカルよりもさらに軽い分子であるメチレンラジカルについて、1600GHz帯でのスペクトル測定に成功した。まだ測定した回転線の本数が十分でないため完全に定数を決定するところまではいっていないが、主要な回転線の周波数予想精度は格段に向上した。現在は測定対象をイオンに拡張すべく、3重構造の冷却セルを製作し、スペクトル測定にむけ準備を進めている。
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Research Products
(1 results)