1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740454
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小笠原 寛人 理化学研究所, 表面化学研究室, 研究員 (50270591)
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Keywords | 金属単結晶表面 / ラマン散乱 / 吸着分子 |
Research Abstract |
本研究では銀微粒子の増感作用を用いて、単結晶表面に吸着した単一分子の局所的な振動スペクトル(ラマン散乱)を測定することを目的とする。 本年度の計画は銀の微粒子を吸着分子に近付けたときの、ラマン散乱強度を見積もることであった。そこで、はじめにリファレンスとして微粒子が全くない状態での吸着分子からのラマン散乱強度を見積もることを試みた。サンプルは銀単結晶(111)表面に吸着したピリジン分子を用いた。超高真空下で銀単結晶(111)表面に100Kでピリジン分子を吸着させた。ラマンスペクトルの測定にはノッチフィルター、シングルポリクロメーターとCCD検出器を用いた微弱光分光装置を用いた。励起は半導体レーザーの波長785nmの光を用いた。励起光は単結晶表面0.2mmφまで集光される。出力10mWで照射したところ、ピリジン分子の被覆率が時間とともに減少していった。この現象は、銀表面に吸着したピリジンが150Kで脱離することなどから考察すると、レーザー光により試料表面が局所的に加熱されて脱離したものと考えている。今後、レーザー光によるこのような試料破壊を抑えるために、試料の冷却機構の改良、光学系の迷光除去による高感度化を行う予定である。さらに、試料破壊が起こらないレーザーの出力のしきい値を決め、次年度以降の研究にフィードバックする予定である。
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Research Products
(1 results)