1998 Fiscal Year Annual Research Report
[60]フラーレン骨格への位置選択的な置換基導入法の開発研究
Project/Area Number |
09740456
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津江 広人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (30271711)
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Keywords | [60]フラーレン / カリックス[8]アレン / 位置選択的化学修飾 / ホスト-ゲスト相互作用 |
Research Abstract |
1985年にC_<60>の大量合成法が発見されて以来、この骨格の化学的反応性が詳しく調べられ、現在では種々の官能基化が可能になりつつある。しかしながら、二ヶ以上の置換基を導入した場合、位置異性体の混合物が得られることが報告されている。フラーレン母体の機能性分子を構築する上で、“反応位置の制御"は、現在のフラーレン化学が抱える大きな課題の一つであり、新たな方法論の開発が必要である。そこで、本研究では、C_<60>骨格への位置選択的な置換基導入法を確立することを目的として、ホスト-ゲスト相互作用とC_<60>の構造的特徴を利用した新規な合成手法を計画立案し、以下の研究項目を実施した。まず、(1)誘導体化が容易なエステル基を位置選択的に配置したカリックス[8]アレンをホストの中間原料として合成した。ここで、本化合物はカリックス[8]アレン誘導体の中で、水酸基のパラ位に二種類の置換基をもつ最初のものであるため、合成戦略を注意深く検討しながら合成を行った。次いで、(2)合成したカリックス[8]アレン誘導体のホスト能を左右するコンホメーションを解析し、その特異な構造を反映した新規な分子運動を発見した(欧文誌に公表済み)。また、(3)合成したカリックス[8]アレンとC_<60>とのホスト-ゲスト相互作用を電子スペクトルを用いて検討した。しかしながら、合成したホストとC_<60>との相互作用は極めで弱いことが判明し、そこで、この実,験結果を踏まえて、計算化学による物性予測を併用しながら新たなホスト系の探索を行った。現在、研究の途中段階ではあるが、電子スペクトルを用いた予備実,験において、C_<60>との相互作用が確認された。なお、当初目的としたカリックス[8]アレン化合物の合成においては、種々の副生成物が得られ、これらを注意深く精査した結果、カリックスアレンの一般的な合成法において低収率の原因と思われる興味深い反応機構が見出され、現在この結果に関する論文の投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Tsue,M.Ohmori,and K.Hirao: "First Calix[8]arene with Regioselectively Functionalized Upper Rim.Apparent Observation of Intramolecular Hydrogen-Bond Flipping" The Journal of Organic Chemistry. 63・15. 4866-4867 (1998)