1997 Fiscal Year Annual Research Report
銅塩を用いたアリル金属と活性メチン、メチレン化合物の触媒的不斉アリル化反応の開発
Project/Area Number |
09740458
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長南 幸安 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30250674)
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Keywords | 銅触媒 / アリル金属 / 活性メチレン / アリル化反応 / 有機銅反応剤 / 電子供与能 |
Research Abstract |
アリル金属としてまず安定で反応性の高いアリルトリブチルスズを選び、pro-nucleophileとしてはメチルマロノニトリルを使用した。 種々の銅塩を用いて当量や反応溶媒・反応温度などの検討を加え、最適条件を模索した。その結果、室温条件下1mol%という触媒量の銅塩で以前報告されたパラジウムと同等のアリル化体を与えることを見いだした。銅塩の量としては、100mol%でも1mol%でもほとんど化学収率には影響を与えないが、銅塩が存在しないとこの反応は全く進行しないので、触媒量の銅塩は必須である。溶媒効果は、塩化メチレン、テトラヒドロフランがこの反応系には最適であった。これはメチルマロノニトリルとアリルスズの双方を溶解する溶媒系が反応を促進するものと現在は考えている。無溶媒条件下でも反応を行ってみた。その場合、反応の進行自身は確認されたが、化学収率は溶媒を使用した場合よりも低下した。銅塩としては一価の臭化銅や沃化銅、銅トリフレートが最適であることが見いだされた。最近tumoverの向上が確認された高圧条件下の反応も行ったが、顕著な反応の促進は見いだせなかった。アリル金属を活性の低いアリルシランに換え、反応を行ったが進行しなかった。アリルスズのかわりにメタリルスズやクロチルスズを用いても反応がγ-選択性で進行した。また同時にいろいろ条件を変えた反応中間体のスペクトル的補足も試みたが、現在のところそれと帰属できるスペクトルは得られていない。反応中間体であると考えている有機銅の電子供与能を調べた。方法として還元体と付加体の比率を比較することにより行った。その結果、メチル銅よりもブチル銅の方が供与能が高いことが分かった。この得られた結果を踏まえ更に高効率の条件を探しだす予定である。
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[Publications] Yukiyasu, Chounan他: "A Chemical Scale for Evaluating the Electron Transfer Ability of Alkylcopper Reagents" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 70巻8号. 1953-1959 (1997)
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[Publications] Yoshinori,Yamamoto他: "A CHEMICAL SCALE FOR EVALUATING THE ELECTRON TRANSFER ABILITY OF ALKYLCOPPER REAGENTS" Pure and Applied Chemistry. (印刷中).