1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740460
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 健二 筑波大学, 化学系, 講師 (40225503)
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Keywords | 酸化還元 / スイッチ / チオール / ジスルフィド / 水素結合 / 分子カプセル |
Research Abstract |
分子カプセルの構築は、分子集合体化学のみならず究極的には物質分離剤やドラッグデリバリーシステムの開発と関連して重要な課題である。本研究では、酸化還元スイッチ機能を有する分子カプセルを分子設計合成することを目的とした。また、水素結合に基づく分子カプセルの構築も試みた。なお、いずれの場合も、レゾルシノールカリックス[4]アレーンの芳香環の2位をブロモ化し、かつ、水酸基対をブロモクロロメタンでメチレンブリッジ保護したもの(1)を、基質とした。 (1)チオール基含有大環状ホスト分子の合成とカプセル化 化合物1をテトラリチオ化し単体硫黄と反応させることで、チオール基含有大環状ホスト分子(2)を合成した。また、上記テトラリチオ体とクロロ炭酸エチルとの反応により芳香環の2位にエステル基導入後、LiAlH_4で還元しアルコール体とした。NCSでクロル体に変換し、塩基存在下チオ尿素と反応させることにより、メルカプトメチル基含有大環状ホスト分子(3)を合成した。 次に各種酸化剤を用いて、各々ホスト分子1,2のチオール基をジスルフィド結合に変換し、2量体即ち分子カプセルの構築を検討した。1に関しては生成物の立体的歪みが大きく2量体は得られず、オリゴマー化してしまった。2に関しては生成物の立体的歪みが緩和され、2量体即ち分子カプセルが生成すると思われる。現在、各種スペクトルにより生成物の解析を行っている。 (2)カルボキシル基含有大環状ホスト分子の合成とカプセル化 上記テトラエステル体をアルカリ加水分解することにより、カルボキシル基含有大環状ホスト分子(4)を合成した。クロロホルム中4と2-アミノピリミジンとの^1H NMR滴定の結果、4:2-アミノピリミジン=2:4の複合体が溶液中で形成され、分子カプセルの生成が示唆された。また、この複合体は水素結合に由来することが明らかとなった。また、パラキシレンから再結晶したところ、4:2-アミノピリミジン:パラキシレン=2:4:4の化学量論比を有する単結晶が得られた。現在、単結晶X線構造解析を行っている。
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