1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンスイッチ機能を有する新規なドナー分子素子の関係
Project/Area Number |
09740468
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
迫 克也 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (90235234)
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Keywords | 電導性 / 有機電導体 / テトラチアフルバレン(TTF) / 分子配列制御 / 金属イオンスイッチ機能 / 金属イオン配位型ドナー / ドナー分子 |
Research Abstract |
電導性に何らかの機能性を付与しようとする研究が、徐々に活発化してきた。金属イオンによって分子配列制御が可能となる金属イオンスイッチ機能性ドナー分子は、電導性制御や配列制御などの新機能発現だけでなく、より高度な多機能性ドナー分子の創出への基礎的な知見を得る上で、重要な役割を果たす化合物として期待されている。金属配位部位としてのビピリジル部分とドナー部位としてのテトラチアフルバレン(TTF)ユニット部分とをなるべく同一平面上に配列し、金属イオンの配位によるビピリジル部分の立体配置をそのまま分子全体の構造に反影することが可能な金属イオンスイッチ機能性ドナー分子を、設計し合成することに成功した。今回、金属イオンスイッチ機能性ドナー分子として、金属イオンが配位するビピリジル部位にペンダントとしてドナー部分のTTFを組み込んだドナー分子1と、金属イオンが配位するビピリジル部位とドナー部分のTTFが縮環したドナー分子2を開発することができた。 金属イオンスイッチ機能性ドナー分子1,2は、アザフルオレノンとTTF誘導体とのカップリング反応によって得ることができたが、その収率は、1では中程度の収率(20%)であったが、2では8%という低収率にとどまった。酸化還元電位の測定から、TTFドナー部位の分子内の位置相違によってドナー性の相違が観られるものの、1、2共にTTFと同程度のドナー性を有している。 今後、1、2を収率良く合成できる合成法を確立し、更に配位金属イオンとしてNi^<2+>、Fe^<2+>、Cu^+、Co^<3+>、Ru^<2+>などを配位させた金属錯体を合成し、電導性の制御、ビピリジル類縁体の立体配置の変化との関係、金属イオンが及ぼす結晶構造の影響を観測することにより、配位金属の有無、電荷状態、種類と電気伝導度や電気化学的挙動との関連を明かにする。
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