1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09740472
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高木 秀樹 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50291456)
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Keywords | 不斉認識 / 軸不斉 / 誘起CD / ビフェニルジオール / サーモクロミズム / プロトン移動 |
Research Abstract |
前年度に引き続き分子会合に基づく不斉誘起プロセスについてこれまで得られた知見をもとに本年度はさらに詳細に以下の研究を行った。まず分子モデリングを用いた分子軌道計算により不斉源として用いるジアミンのアミノ基上の置換基の大きさにより柔軟な構造をもつビフェニルジオールに誘起される不斉が逆転する現象を検証し、先に分光学的データから得られた知見を支持する結果を得ると共に不斉誘起にvdW相互作用が大きく寄与することを明らかにした。今後は錯体の結晶構造解析から相互作用様式などの知見を得ることを予定している。次に不斉構造を持つ錯体のラセミ化速度を求めるべく温度可変NMR・CDスペクトル測定を行ったが算出困難となる予期せぬスペクトル変化が生じた結果、新たにサーモクロミズム現象を見出すことに成功した。次なるテーマへと展開している。また本研究の応用面として会合体形成に引き続いて起こるプロセスに着目した有機合成反応を検討し、スチルベン骨格を導入した新規ビフェニルジオール誘導体の合成ルートを確立するとともに光学活性化合物との錯体形成時における光環化反応を利用した不斉ビアリール化合物の合成を試みたが収率の点で未だ検討を要する結果となった。以上、本研究では不斉情報の伝達に関与する相互作用について詳細な検討を行い水素結合とvander Waals相互作用の組み合わせによって軸不斉が誘起されることを明らかにし、新たに低温においてサーモクロミズムを示す現象を見出した。また低温で生成するionic相互作用に基づく錯体では不斉情報が効率よく伝達されることを円二色性スペクトルなどを用いて明らかにした。さらにこの現象について、分子間プロトン移動平衡に基づくこと、ホストゲストの量論と相関があること、溶媒効果などの新たな知見を得た。得られた成果の一部は日本化学会にて発表している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Mizutani: "Role of van der Waals Forces in Enantioselective Processes" Tetrahedron Lett.37. 2581-2584 (1996)
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[Publications] T.Mizutani: "Axal Chirality Induction in Flexible Biphenols by Hydrogen Bonding and Steric Interactions" Tetrahedron Lett.38. 1991-1994 (1997)
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[Publications] T.Mizutani: "Hydrogen Bonding Based Thermochromic Phenol-Amine Complexes" J.Phys.Org.Chem.11. 737-742 (1998)