1997 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマス化合物を用いる水存在下でも進行する簡便なGrignard型反応の開発
Project/Area Number |
09740474
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三好 徳和 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (40219829)
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Keywords | ビスマス化合物 / Grignard型反応 / 含水溶媒 / アリル化反応 |
Research Abstract |
筆者は、有効的な新しい選択的炭素骨格形成反応開発を行っている。従来の多くの反応は、酸や塩基を反応試剤として用いている。しかし、生理活性物質等の天然有機化合物合成を行う場合には、種々の官能基を保護する必要があり、強い酸や塩基を用いることができないのが現状である。そこで、酸や塩基ではなく酸化や還元反応により反応活性種を生成させれば、今までとは異なった反応性を示し、新しい反応の開発が行え、その結果、選択的合成反応を行わせることが可能であると考えた。さらに、最近に至るまで、種々の選択的炭素骨格形成反応が報告されているが、その多くは厳密な非水条件を必要としており、反応系への僅かな水の混入がしばしば収率や選択性の低下をもたらす。特に有機金属試薬はその加水分解反応が起こるため、非水条件が求められていた。最近になって、含水溶媒中でも進行する金属試薬の反応が幾つか報告されるようになったが、まだまだ少ない。そこで含水溶媒中でも位置及び立体選択的に進行する炭素骨格形成反応の開発は、有機合成化学的に意義あるものと考えられる。 上記の理由を基に、筆者らは、ビスマス化合物を還元剤として用いる反応の研究を現在行っている。その結果、水に安定なアリル化(アルキル化)試剤の開発において三塩化ビスマスと金属マグネシウム存在下、THFに水を添加することにより円滑に進行する、簡便なBarbier型アリル化反応を見い出した。この反応は含水溶媒中のみならず、強酸や強塩基さらには緩衝溶液中でも反応が円滑に進行することがわかった。これらの利点を活かし、更なる反応の開発と有用化合物の合成への展開を模索することを考えた。そのひとつとして無保護の官能基を有する化合物を用いた反応を試みた。その結果、筆者らは、カルボキシル基を無保護のまま有する基質を用いても、アリル化反応が円滑に進行することを見い出した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Wada, T.Fukuma, M.Morioka, T.Takahashi, and N.Miyoshi: "A Novel Aqueous Barbier-Grignard-Type Allylation of Aldehydes in a Mg/Bicl_3 Bimetal System" Tetrahedron Lett.38. 8045-8048 (1997)
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[Publications] M.Wada, M.Honna, Y.Kuramoto, and N.Miyoshi: "The Grignard-type Addition of Allyl Unit to Carbonyl Compounds Containing a Carboxyl Group by Using BiCl_3-Zn(0)-Allyl Bromide in Aqueous Media" Bull.Chem.Soc.Jpn.70. 2265-2267 (1997)
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[Publications] M.Wada, T.Takahashi, T.Domae, T.Fukuma, N.MIyoshi, and K.Smith: "Asymmetric Trimethylsilylcyanation of Aldenydes Utilizing Chiral Bismuth Compounds.A Frontier in Bismuth Mediated Synthetic Reactions" Tetrahedron:Asymmetry. 8. 3939-3946 (1997)