1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740477
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡内 辰夫 九州工業大学, 工学部, 助手 (60274552)
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Keywords | ビニルトリフラート / ビニルホスホナ-ト / α-ホスホノビニルトリフラート / Triflating agent / エポキシド / アシルホスホナ-ト |
Research Abstract |
ビニルトリフラートは、脱離能の高いトリフルオロメタンスルホニル基を有することから、ビニルカチオンやビニリデンカルベンの前駆体となることが知られており、遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応等においては、極めて有用な反応剤となっている。一方、ビニルホスホナ-トは、良好な親電子剤として活用されており複素環骨格合成における合成中間体として広く利用されている。この両者を組み合わせたα-ホスホノビニルトリフラートはトリフラートとホスホナ-トの両性質を有することから、新しい有機合成反応剤として活用が期待できる。まずはじめに、すでに知られているケトンからのビニルトリフラートの合成手法にならい、アシルホスホナ-トとTriflating agentとの反応によりα-ホスホノビニルトリフラートの合成を試みた。アシルホスホナ-トは、種々の酸クロリドと亜リン酸エステルとのArbuzov反応により容易に合成できる。 条件検討の結果、塩基としてリチウムヘキサメチルジシラジドを、Triflating agentとしてTf_2Oを用いたときに最高33%の収率でα-ホスホノビニルトリフラートを合成することに成功した。 しかしながら未だ満足のいく収率が得られていない。この原因として原料であるアシルホスホナ-トが不安定であることが考えられる。そこで、より安定で取扱の容易なホスホノエポキシドを原料に用いることを考えた。その検討に先立ち、ケトエポキシドとTrif1ating agentとの反応をモデルとして検討を行ったその結果、エーテル溶媒中、Tf_2Oを用い0℃で反応を行ったところ、78%という良好な収率で、ビニルトリフラートの合成に成功した。現在同条件下、α-ケトビニルホスホナ-トを用いα-ホスホノビニルトリフラートの合成について検討を行っている。
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