1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740478
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
くわ谷 善之 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (00234625)
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Keywords | アヌレン / 非平面共役系分子 / 有機合成 / 遷移金属触媒反応 |
Research Abstract |
近年、フラーレンC_<60>やカーボンナノチューブとの関連から、コランニュレン・サ-キュレンといった曲面状共役系分子がいくつか合成され、これらの持つ特徴的な性質が明らかになってきている。一方、円筒状の共役系化合物についても数種の物が提案されているが、現在までに成功した例はない。円筒状の共役系には、上で述べたような非平面性という観点の他に(円筒の)内と外がより明確に区別されるという意味からも興味が持たれる。 代表者は、all-Z-ベンゾ[4n]アヌレン類が、このような円筒状の共役系としての性質を示すことを期待してその系統的研究を行う事を計画した。本年度は特にその系統的合成法を確立する事を目的として研究を行い、トリベンゾ[12]アヌレンおよびテトラベンゾ[16]アヌレンを合成することができた。ここで用いた合成法は、(1)パラジウム触媒クロスカップリング反応を利用してオリゴフェニルアセチレン型の化合物を得、その接触還元によりO-フェニレンとcis-エチレンが交互に結合し両端にホルミル基を有する直線状の前駆体を合成し、(2)その還元的カップリングによって得られるピナコールをCorey法によってcis-エチレンに導くというものである。このうち、(2)の段階はほぼ確立できたと考えているが、(1)の段階でcis-エチレン部分を構築する手法としてアセチレンの接触還元だけでは限界があり、他の方法についてもいくつか検討を行っている。 今後この点を解決し、系統的合成法を確立して、その性質を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Iyoda et al.: "Halogenated Bis(methylthio)tetrathiafulvalenes as a Unique Donor System." Chem.Lett.599-600 (1997)
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[Publications] M.Iyoda et al.: "Synthesis of Dithienothiophenes,Cyclopentadithiophene and Siacyclopentadithiophenes Using Palladium Catalyzed Cyclization." Tetrahedron Lett.38巻. 4581-4582 (1997)
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[Publications] M.Iyoda et al.: "Synthesis of New π-Donors Using the Reaction of EDT-TTF with Lithium Diisopropylamide." Mol.Cryst.Liq.Cryst.296巻. 41-51 (1997)
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[Publications] Y.Kuwatani et al.: "4,5-Diiodo-4′,5′-ethylenedioxytetrathiafulvalene and Its Metallic Radical Salts." Chem.Lett.817-818 (1997)
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[Publications] T.Seki et al.: "Heterocycles Structurally lnfluenced by a Side Chain.X.Effect of Temperature and Side Chain on the Imine-Enamine Tautomerism in the Quinoxalinone and Pyridopyrazinone Systems." J.Heterocyclic Chem.34巻. 773-780 (1997)
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[Publications] H.Yamataka et al.: "On the Mechanism of Addition of Lithium Pinacolone Enolate to Benzaldehyde:Polar or Electron Transfer?" J.Am.Chem.Soc.119巻. 9975-9979 (1997)