1997 Fiscal Year Annual Research Report
機能性色素の空間配置を規制した超分子光反応系の構築
Project/Area Number |
09740479
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 哲史 大阪市立大学, 理学部, 助手 (00285280)
|
Keywords | 光合成 / エネルギー移動 / 光調節 / ポルフィリン / カロテノイド / モデル分子 / 蛍光寿命 / 空間配置 |
Research Abstract |
光合成色素たんぱく質におけるクロロフィルとカルテノイドの間のエネルギー移動反応,およびその反応によるとされるカロテノイドの光調節機能を解明するため,これらの機能性色素をスペーサー分子を介して空間的に配置したモデル系の構築を行った.スペーサーとしてキサンテン骨格を持つ分子を利用し,Uターン型に色素が配列するように分子設計を行った結果,色素間の距離を実際のたんぱく質中と同程度に縮めることに成功し,分子内での効率よい光反応を実現可能にした.蛍光実験ではカロテノイドへの励起エネルギー移動と考えられる光反応が顕著に観測されたため,パルスレーザーを光源とする蛍光寿命法でその速度やメカニズムについて明らかにした.従来のモデル化合物で見られたようなカロテノイドによる集光反応はこの系ではまったく見られなかったことから,カロテノイドの光調節の優れたモデル系として今後の研究への利用に最適であり,過渡吸収法等によりその反応機構を明らかにすることにより,光合成メカニズムの解明への貢献が期待される. またエネルギー移動反応に関わる重要なパラメーターである色素間距離についての検討のため,スペーサー分子の異なるモデル分子についても新たに合成を行い,エネルギー移動効率の変化を詳細に検討した.その結果,エネルギー移動反応速度は分子間の空間的距離の増加とともに急激に減少することが明らかとなった.蛍光寿命はすべて2成分で解析されたことから,分子内エネルギー移動反応が分子の構造あるいは運動と深く関係していることがわかったため,今後これらのモデル分子の構造解析をより詳しく進めるとともに反応性との相関を明らかにしていく予定である.
|