1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740481
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
柴田 高範 東京理科大学, 理学部, 助手 (80265735)
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Keywords | 不斉還元 / 自己増殖的不斉反応 / β-アミノアルコール / α-アミノケトン / 水素化アルミニウムリチウム |
Research Abstract |
従来の不斉反応は、用いる不斉配位子と生成物は全く異なる構造を有しており、反応後両者を分離精製する必要があります。一方自己完結型不斉反応とは、不斉配位子と生成物の構造ならびに絶対構造が同一の反応です。本反応では反応後両者を分離精製する過程は必要なく、それを不斉配位子として、さらに反応を繰り返し行うことができます。従って、理論的に痕跡量の不斉配位子があれば、半永久的に不斉反応を行うことができます。 今回私は、α-アミノケトンの不斉還元反応において、高選択的な自己完結型不斉反応を確立しました。即ち、不斉配位子としてβ-アミノアルコール、還元剤として水素化アルミニウムリチウム、補助配位子としてN-エチルアニリンを用い、対応するα-アミノケトンの不斉還元反応を行ったところ、用いた不斉配位子と同一な構造、絶対構造を有するβ-アミノアルコールが得られました。本反応のエナンチオ選択性は、β-アミノアルコールの窒素上の置換基で変化し、一般に環状のアミン、特にピペリジノ基の場合最も高い選択性を示しました。そして、反応条件等を精査した結果、新たなに得られるα-アミノアルコールの不斉収率は90%を越えました。さらに一般に得られるβ-アミノアルコールは、再結晶により容易に用いた不斉配位子と同様にほぼ光学的純粋となりました。この結果は、本反応によって、β-アミノアルコールが完全に自己複製されたことを意味します。 上記の自己完結型不斉還元反応では、基質のα-アミノケトンに対し、等量以上のβ-アミノアルコールを不斉配位子として用いています。現在、基質に対し触媒量の不斉配位子で反応が進行する自己完結型触媒的不斉還元を実現しうる反応系を創製すべく、検討中です。
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