1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740485
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
笠井 香代子 宮城教育大学, 教育学部, 助手 (40282149)
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Keywords | 前周期遷移金属 / ジルコノセン / カップリング反応 / 炭素-炭素結合生成反応 / 反応中間体 |
Research Abstract |
近年、前周期遷移金属を用いた反応が、触媒反応や天然物などの有機合成に広く用いられている。ジルコノセンを用いた選択的なカップリング反応はその代表的な反応の1つだが、その中間体の詳細な研究はまだあまりなされていない。本研究では、ジルコノセンを用いる反応系中で得られる反応中間体の単離合成とそれらを用いた反応の検討を目的とする。 有機合成を効率よく行う際において、選択的な炭素-炭素結合生成を行うことが重要であり、ジルコノセンによる不飽和結合のカップリング反応は、高収率かつ高選択的に炭素-炭素結合を生成することができるため、天然物合成をはじめとした有機合成反応に広く用いられている。さらに、最近では触媒反応への展開も報告されている。その中で、反応基質にアリルエーテルのアルコキシキ基のように、脱離しやすい置換基を導入すると、ジルコニウム金属上にそれらの脱離基が移動して反応が進行すると考えられるが、その中間体が不安定であり、速やかに次の反応が進行してしまうために、それらの中間体を単離するができなかった。そこで、本研究では、反応基質の両末端に脱離基を持つ基質を用いて、反応中間体の単離を試みる。 末端にプロパルギルエーテルをもつアルキル鎖をジルコノセンと反応させると、室温ではプロパルギル基が脱離してアレンが生成するのに対して、低温ではアルコキシル基が脱離しないことがわかった。更に、低温での反応生成物の重水素化により、アルコキシル基がジルコニウム上に配位した中間体の存在が強く示唆される結果を得た。
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