1997 Fiscal Year Annual Research Report
多元相互作用に基づく金属応答性アロステリックレセプターの開発
Project/Area Number |
09740488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森内 敏之 大阪大学, 工学部, 助手 (60281119)
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Keywords | Podand型複素環系三座配位子 / パラジウム錯体 / メタロレセプター / π-共役系分子 |
Research Abstract |
本研究では、アロステリ-に基づいて個々の分子を配列制御することによる「高機能分子系超構造」の構築を目的とし、金属イオンとの錯形成に起因するホストの大きなコンホメーション変化とPodand部位の多元相互作用を活かした金属応答性アロステリックレセプターの開発を目的とする、本年度は、複素環系三座配位子を設計合成し、パラジウムからなるメタロレセプターを開発し、その有用性について明らかにした。 複素環系三座配位子(BPHEPA)をアセトニトリル中、酢酸パラジウムで処理したところ、1:1錯体BPHEPA-Pdが得られた。X線結晶構造解析より、パラジウムは平面四配位構造をとっており、空いた配位座に溶媒のアセトニトリルが配位していた。このアセトニトリルは、4-ジメチルピリジンなどの複素環系の配位子と容易に交換することが可能であり、メタロレセプターとして機能することが判明した。 次に、このメタロレセプターとしての機能を利用して、π-共役系分子の導入を試みた。π-共役系分子であるベンゾキノンジイミンをアセトニトリル中で2当量のBPHEPA-Pdで処理したところ、暗緑色の錯体が得られ、各種スペクトルより1:2錯体であることが明らかとなった。X線結晶構造解析より、BPHEPA-Pdはベンゾキノンジイミンのイミン部位に配位しており、キノンジイミン部位に基づくanti型構造であることが明らかとなった。温度可変^1H NMR測定より、溶液中において、anti体、syn体が存在しており、syn-antiに基づく回転障壁エネルギーは14kcal/molであることが判明した。 以上の如く、新規に設計合成したパラジウム錯体がメタロレセプターとして機能することを明らかにし、その特性に基づいた「高機能分子系超構造」構築のための基礎的知見を得た。
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