1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素の生理機能解明を志向する一酸化窒素-鉄・銅錯体の特異な反応場構築
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09740505
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Research Institution | Yamagata Public Corporation For the Development Of Industry, Institute Life Support Technology |
Principal Investigator |
藤井 敏司 (財)山形県テクノポリス財団, 生物ラジカル研究所・化学第一研究部, 研究員 (80271518)
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Keywords | 一酸化窒素 / 鉄錯体 / ジチオカルバメート / 電子スピン共鳴 / 検出法 |
Research Abstract |
1.鉄錯体及びNO錯体の電子状態・構造に関する研究:ジチオカルバメートのアルキル置換基が鉄錯体及びNO錯体の電子状態に及ぼす影響を調べるため、本年度は我々が開発したN-(dithiocarboxy)sarcosine(DTCS)の誘導体であるN-i-propyl-glycine dithiocarbamateおよびそのエチルエステルを合成し、鉄錯体、NO錯体の電子状態を調べた。その結果、これら2種の配位子を用いた鉄錯体の電子状態は既知のジチオカルバメート誘導体鉄錯体(Fe-DTC)とほぼ同様だが、NO錯体の電子状態はDTCSのみならずその他の既知のジチオカルバメート誘導体を配位子とした場合とはかなり異なり、NO及び配位子から鉄への電子の流れ込みの大きいNO錯体が得られた。この傾向は特にIRスペクトルにおいて観測されたが、可視紫外吸収やESRスペクトルには余り変化は現れなかった。この特異な電子状態をもたらす原因を深るため、今後、結晶化やその他の物理化学的測定を試み、より詳細な構造・電子状態を調べる予定である。 2.NO錯体の生成・分解機構に関する研究:Fe-DTCがNOと反応すると、NO-Fe(II)-DTC錯体が生成する。この時、出発錯体のFeが2価であればシンプルな付加反応であるが、内因性NOの捕捉に通常行われているような条件では鉄は3価であることが本研究で明らかとなった。そこでこの還元ニトロシル化反応をパルスラジオリシス法で調べたところ、これまでヘムタンパク質やポルフィリン化合物で知られていた既知の還元ニトロシル反応とは異なるメカニズムで起こってこることが分かった。現在、HPLCなどを用いて生成物の分析を行い、反応の詳細を検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Satoshi FUJII: "In vivo three-dimensional EPR imaging of nitric oxide production from isosorbide dinitrate in mouse" American Journal of Physiology. (印刷中). (1998)
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[Publications] Yasuhiro SUZUKI: "The origin of an EPR signal observed in dithiocarbamate-loaded tissues : Copper(II)-dithiocarbamate complexes account for the narrow hyperfine lines" Biochimica et Biophysica Acta. 1335. 242-245 (1997)
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[Publications] Tetsuhiko YOSHIMURA: "Electron Paramagnetic Resonance Detection and Imaging of Endogenously Synthesized and Exogenously Supplied Nitric Oxide" Journal of Magnetic Resonace Analysis. (印刷中). (1998)
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[Publications] Yasuhiro SUZUKI: "In vivo Nitric Oxide Detection in The Septic Shock Rat Brain by Electron Paramagnetic Resonance" Free Radical Research. (印刷中). (1998)