1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740534
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
持田 智行 東邦大学, 理学部・化学科, 講師 (30280580)
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Keywords | TTFカルボン酸 / フェロセンカルボン酸 / 水素結合型誘電体 |
Research Abstract |
外場応答性を有する新しい型の複合系誘電体を得る目的で、本研究では、電子機能性を担う電子供与体と、水素結合ダイナミックスに基づく誘電応答を担うりん酸・ひ酸の水素結合鎖を連結した結晶の構築を試みた。構成分子としては、カルボキシル基を有し、かつ1電子酸化状態で脱炭酸がおこりにくい安定な電子ドナーを用いることが必要である。本年度はまずその試みとして、1)TTFカルボン酸系、およびフェロセンカルボン酸系の化合物を電子ドナーとして選択し、それらの合成、および錯体作成を重点的に行った。 1)TTFにカルボン酸が直結した化合物は数種類知られているものの、一電子酸化によって分解する傾向がある。そこで、カルボキシル基とTTF骨格との間にメチレンおよびチオメチレンを導入した化合物を対象とし、その合成を試みた。その結果、前駆体であるアミド体の合成まで至っているが、その加水分解によりカルボン酸を得る反応が困難であることが判明した。現在異なる経路を用いて継続検討中である。 2)フェロセンカルボン酸およびジカルボン酸を合成し、クラウンエーテル存在下、りん酸2水素カリウム等を電解質として、種々の条件下で電解結晶化を試みた。その結果、適切な溶媒種を選択した場合に、電解合成によって黒色固体が得られることが判明した。ただし、得られた固体は結晶性がきわめて悪いことが明らかとなったため、さらにフェロセン部分の化学修飾を通じた検討を継続中である。
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