1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740542
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
末延 知義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90271030)
|
Keywords | フラーレン / 光アルキル化 / NADH類縁体 / フラーレンアルキル付加体アニオン / ハロゲン化アルキル / 異種アルキル付加体フラーレン / 電子移動 / S_N2反応 |
Research Abstract |
フラーレン類の発見以来フラーレン特有の様々な化学反応が報告されているが、フラーレンアニオン種の反応性については、ほとんど明らかになっていない。我々は、フラーレン(C_<60>,C_<70>)が高い電子受容能力を有する点に着目し、まずフラーレンの電子移動還元反応について光電子移動反応を含めて種々の還元剤を用いる手法を探索し、フラーレンジアニオン、あるいはフラーレンアルキル付加体アニオンを選択的に得られる手法を確立し、それらアニオン種の高い電子供与能力を利用して、フラーレン特有の全く新しいタイプの物質変換手法を開発した。我々は、これまでにフラーレンジアニオンと種々のハロゲン化アルキルとの反応によるフラーレンのジアルキル付加体が得られる機構を解明し、得られたジベンジル付加体を単離してX線結晶構造解析を行った。本年度は、平成9年度の研究成果を基に、NADH類縁体の優れた電子供与能を利用してフラーレン類を選択的に光還元し、フラーレンアルキル付加体アニオンを得る手法を確立して報告した。C_<60>とC_<70>の光反応性の違いも明確にした。また、フラーレンジアニオンと種々のハロゲン化アルキルとの反応における電子移動およびS_N2反応の反応性の違いを利用して、分子内にtert-ブチル基とベンジル基を一つづつ有する異種アルキル付加体フラーレンの合成単離および構造決定に成功して報告した。また、立体障害の大きなハロゲン化アルキルを用いることにより、後続のS_N2反応を抑制し、フラーレンアルキル付加体アニオンをの同定を行った。このアニオンと種々のハロゲン化アルキルとの反応について検討し、立体障害の大きいハロゲン化アルキルとのS_N1反応を経るフラーレンアニオン種の全く新しい反応を見い出した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "Electron Transfer Properties of C_<60> and tert-C_<60> Radical" J.Am.Chem.Soc.121・(in press). (1999)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "ESR Spectra of Superoxide Animo-Scandium Complexes Detectable in Fluid Solution" J.Am.Chem.Soc.121・7. 1605-1606 (1999)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "Electron Transfer Kinetics for Generation of Organoiron(IV)Porphyrins and the Iron(IV)Porphyrin 【product】 Radical Cations" J.Am.Chem.Soc.121・4. 785-790 (1999)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "Formation of C_<60> Adducts with Two Different Alkyl Groups via Combination of Electron Transfer and S_N2 Reactions" J.Am.Chem.Soc.120・36. 9220-9227 (1998)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "Selective One-Electron and Two-Electron Reduction of C_<60> with NADH and NAD Dimer Analogues via photoinduced Electron Transfer" J.Am.Chem.Soc.120・32. 8060-8068 (1998)
-
[Publications] Tomoyoshi Suenobu et al.: "Formation of Radical Anion in the Reaction of p-Benzoquinone and C_<60> with Alkoxide Ions" J.Am.Chem.Soc.120・27. 6673-6680 (1998)