1997 Fiscal Year Annual Research Report
アキラルなサレン錯体と光学活性な軸配位子の組み合わせに基づく不斉エポキシ化の研究
Project/Area Number |
09740544
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 亮 九州大学, 理学部, 助手 (70243889)
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Keywords | キラルな軸配位子 / キラルなピリジンN-オキシド / アキラルなサレン錯体 / 不斉エポキシ化 |
Research Abstract |
これまでに申請者らは、キラルなサレンマンガン錯体を用いる各種共役オレフィンの不斉エポキシ化で、ピリジンN-オキシドを添加すると化学及び不斉収率が向上するという軸配位子添加効果を見い出している。 さらに、本反応の活性種であるオキソサレンマンガン錯体のサレン配位子が非平面構造を持つことを示唆する実験結果を観測した。 これらのことから、サレン配位子の非平面構造に基づくキラリティーを光学活性な軸配位子により制御することができればアキラルなサレン錯体を用いて不斉エポキシ化を行うことが可能であると推測された。 この考えに基づき、今回キラルなピリジンN-オキシドとアキラルなサレンマンガン錯体の組み合わせによる不斉エポキシ化を検討した。 キラルなピリジンN-オキシドとしては(S)-3,3′-ジメチル-2,2′-ビキノリンN,N′-ジオキシド(1)を、またアキラルなサレン錯体には、マンガン(III)3,3′,5,5′-テトラ-t-ブチル-8,8′-テトラメチル-N,N′-エチレンビス〔サリチリデンイミナート)錯体(2)を用いた。 基質としては、2,2-ジメチルクロメン誘導体を用いた。種々反応条件を検討したところ、基質に対して0.02当量の錯体(2)、0.7当量のキラル配位子(1)、当量の共酸化剤を用いてフルオロベンゼン中で反応を行うと目的のエポキシドが化学収率58%及び不斉収率64%eeで得られることが分かった。 これらの結果は、サレンマンガン錯体の配位子がキラルなコンホメーションをとるという申請者らの考えを支持するとともに、当初期待したようにそのキラリティーが軸配位子のキラリティーによって制御されることを示すものである。 これらの結果は速やかに公表される予定である。
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