1998 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける葉緑体と核のクロストークに関わる遺伝子の解析
Project/Area Number |
09740563
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
望月 伸悦 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (60280939)
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Keywords | プラスチドファクター / クロロフィル / Mg-chelatase / gun突然変異体 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究では、プラスチドから核への情報伝達経路に関する突然変異体として単離された、アラビドプシスのgun突然変異体を、遺伝学・生理学的に解析し、この情報伝達経路に関わる遺伝子を明らかにしたい。本年度は、次の2つの課題を設定し、研究を進めた。 1)gun突然変異体におけるクロロフィル蓄積量の比較 gun突然変異体のうち、gun1、gun4およびgun5、ならびにそれらの多重突然変異体について、クロロフィル蓄積量を定量する。また、クロロフィル合成中間体の蓄積量についても測定を行う。 2)gun突然変異の遺伝学的解析 遺伝学的相互作用が見られるGUN1、GUN4,及びGUN5と、 他のGUN遺伝子との相互作用を調べるために、二重突然変異体の同定を進める。また、光形態形成突然変異体との二重突然変異体を作製し、GUN遺伝子とフィトクロム情報伝達系との関係について調べる。 3)他のGUN遺伝子のマッピング 上述以外のGUN遺伝子のマッピングを進める。特にgun0-10について、ランズバーグ株との掛け合わせを行い、Fl/F2世代の種子を準備する。 「結果・考察」 1)gun5についてクロロフィル合成中間体の蓄積量についても測定を行ったところ、予備的な結果だが、野生型植物に比べMg-protoIXの蓄積が低下していることが分かった。このため、gun5ではProtoIXからMg-ProtoIXへのステップに異常があると考えられる。並行して進めているGUN5遺伝子のクローニングの結果、GUN5がMg-chelataseのHサブユニットをコードすることがわかり、先の予想が正しいことが証明された。この結果、高等植物においてクロロフィル合成中間体がプラスチドと核の間の情報伝達物質として機能している可能性が強く示唆される。 2)、3)については、本年度所属大学の変更のため時間的・設備的制約が生じ、報告すべき進展がなかった。
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