1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740574
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10272006)
|
Keywords | 光合成 / 落葉性 / 常緑性 |
Research Abstract |
1 クヌギ・シラカンバ(落葉樹)・マテバシイ・ヤブツバキ・シラカシ(常緑樹)・シロザ・オオオナモミ(草本)の光合成特性を比較した。ガス交換測定とクロロフィル蛍光測定を同時に行うことにより、葉間細胞間隙から葉緑体までのCO2拡散のコンダクタンスを推定した。その結果、常緑樹では落葉樹・草本に比べ、コンダクタンスが低い傾向があった。しかし、その違いは大きくなく、コンダクタンスの違いだけで光合成の窒素利用効率の違いが生じているわけではないことがわかった。また、落葉樹のコンダクタンスはほとんど草本と同じであることがわかった。 2 同じ植物でも生育温度条件によってCO2拡散のコンダクタンスが異なる可能性を示唆した研究が発表されたため、本当に異なるのかを調べた。材料としてシラカシを用い、15度と30度の条件で育てた。気孔コンダクタンスに大きな違いが認められたが、葉肉細胞におけるコンダクタンスの違いは明瞭ではなかった。 3 この他、得られたデータ等をもとに数理モデルを構築し、地球温暖化や大気CO2上昇に対する植物の応答を予測した。このモデルにより、大気CO2が2倍になると、葉や群落の光合成は気温25度で約1.4倍になることを示唆した。また、光合成系のタンパク質の組成が最適に変化した場合は1.6倍になることが予測された。この他、CO2上昇の影響は、気温が高いほど大きいことなどが予測された。 4 千葉県の東大千葉演習林などで光合成特性と葉の寿命の関係について調査を行ったが、まだ継続中で、まとめるには至っていない。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Hikosaka K: "Modelling optimal temperature acclimation of the photosynthetic apparatus in C3 plants with respect to nitrogen use." Annals of Botany. 80. 721-730 (1997)
-
[Publications] Hikosaka K, Hirose T: "Leaf angle as a strategy for light competition : Optimal and evolutionarily stable light-extinction coefficient with in a canopy." Eoscience. 4. 501-507 (1997)
-
[Publications] Hikosaka K, Hirose T: "Leaf and canopy photosynthesis of C3 plants at elevated CO2 in relation to optimal partitioning of nitrogen among photosynthetic components : theoretical prediction" Ecological Modelling. (印刷中).
-
[Publications] 彦坂,幸毅: "生育環境に対する個葉光合成系の順化" 日本生態学会誌. 47. 295-300 (1997)
-
[Publications] 彦坂,幸毅: "葉はなぜ枯れるのか-葉の老化と順化" 科学. 68. 88-93 (1998)
-
[Publications] Hikosaka K, Handa YT, Hirose T, Terashima I: "Photosynthetic nitrogen use efficiency in woody and herbaceous plants." Functional Ecology. (印刷中).