1997 Fiscal Year Annual Research Report
gene-for-gene系のカオス的挙動についての研究
Project/Area Number |
09740575
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 幸彦 筑波大学, 生物科学系, 講師 (90237074)
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Keywords | gene-for-gene / カオス的挙動 / bit-matching / Individual-based model |
Research Abstract |
本年度の計画に従い、下記のことを行った。 1)既存のgene-for-geneモデルのレビュー 当初検討の対象にしていた古典モデル(Anderson and May 1982やMay and Anderson 1983など)と人工生命モデル(Hartvigsen and Starmer 1995)などを比較した結果、これらのモデル構築の背景にある思想や手順の隔たりが大きすぎることが判明した。そこで遺伝モデルを組み込み、かつ古典的側面を温存しているモデルを検討した結果、Doebeliのビット列による量的遺伝学を使った一連の仕事(Doebeli 1996a、Doebeli 1996b、Doebeli 1997)が、見方をかえるとまさにgene-for-geneのモデルそのものであることを発見した。彼のアプローチは古典的集団遺伝学とビット列を使った遺伝的アルゴリズムの両方の中間的側面を持っているため、解析的なアプローチとIndividual-based Model(IBM)的なアプローチの両方が同じプログラムで検証できるという利点がある。また、彼の考案した標準正規分布を使った「相性」関数はbit-matching規則を解析的に置き換える場合に有用なアルゴリズムである。多くのIBMの研究は、比較対象とする解析モデルを持たないことが多いが、Doebeliのモデル体系を巧妙に使うことによって、厳密に解析的なアプローチとの突き合わせができるようなIBMの構築が可能になると考えられる。 2)Bit-matching規則によるgene-for-geneモデルのIBM化 1)のレビューに基づき、Doebeliの遺伝モデルと突き合わせが可能な形でのgene-for-gene系のIBMのプロトタイプを作成した。 上記のレビューとプロトタイプによる検討を試論として、今年夏にヘルシンキで行われる国際会議、ECHO-III(Emergence,Complexity,Hierarchy,and Organization)に投稿中である。
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