1997 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素濃度の歴史的変化に対する植物の光合成・生長反応とその制御メカニズム
Project/Area Number |
09740576
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 真一 筑波大学, 生物科学系, 助手 (80251015)
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Keywords | 二酸化炭素 / 光合成型 / 生長解析 / 廉価版暴露装置 |
Research Abstract |
大気二酸化炭素(CO_2)濃度は地球誕生以来常に変化し、最終氷期に最低値をとった後、最近は主に人間活動の影響で上昇を続けている。最も楽観的なシナリオをもとにしたシミュレーション結果でさえ、来世紀中に現在の1.5倍の濃度になるとしている。こうした大気CO_2濃度の変化に伴って、植物はその生理・形態的性質を変化させてきたと推測される。そこで本年度は、生育型や光合成型の異なる様々な陸上植物を230ppm(産業革命前,LC)、360ppm(現在,PC)、450ppm(21世紀,HC)の3種類の濃度で栽培するための廉価版システムを構築し、これを用いて生長解析を行った。 腐葉土の分解により放出されるCO_2を利用し、低CO_2濃度制御にはソーダ石灰を用いた。また暴露装置(Open Top Chamber)は圃場に温室資材を用いて作成した。暴露装置の性能については、CO_2濃度・温度制御ともに良好な結果が得られた。 シロザ(C_3)では、LC区で純同化率(NAR)の低下を葉面積比(LAR)の増加が補完し、逆にHC区ではNARが増加してLARが低下した。ハマアカザ(C_4)では、PCとHC処理の間に生長パラメータ値の差異がみられなかった。ブナ科の落葉樹(クヌギ、コナラ)では、同様にCO_2濃度増大による生長促進は顕著でなく、一方同じ科の常緑樹(シラカシ、マテバシイ)では、特にLCとPCの間で顕著な生長促進が見られた。以上より、陸上植物はその光合成型や生育型によってCO_2反応が類型化されることが示唆された。
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