1997 Fiscal Year Annual Research Report
イネの光応答発現を示す核移行シグナル受容体蛋白質のリガンドの探索
Project/Area Number |
09740593
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩さき 俊介 新潟大学, 理学部, 助教授 (00201947)
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Keywords | 蛋白質核移行 / 核移行シグナル受容体 / インポーティンα / 光応答遺伝子発現 / 蛋白質間相互作用 / イネ |
Research Abstract |
本研究は、イネの光応答発現を示す核移行シグナル受容体蛋白質に、特異的に結合する蛋白質を単離することにより、光応答の制御に関わる可能性のある、未知の核蛋白質を同定することを目的としている。本年度に実施した研究実績の概要は下記のとおりである。 1.イネの2種類の核移行シグナル受容体遺伝子の発現様式の比較 2種類の核移行シグナル受容体蛋白質遺伝子(♯61L,とAD752)のうち、AD752は、光合成器官において負の光応答発現を示すのに対し、♯61L.は、転写産物レベルの極めて低い遺伝子であり、明確な光応答発現を示さないことを明らかにした。また、それぞれの蛋白質に対する抗体を用いて、様々な組織由来のイネ粗抽出液についてウエスタンブロットを行ったが、いずれの抗体によっても複数のバンドが検出され、抗体の特異性に関して問題があると考えられた。今後、抗体のアフィニティー精製などにより、この問題を早急に解決する必要がある。 2.負の光応答発現を示す核移行シグナル受容体(AD752)に特異的に結合するイネ蛋白質のcDNAの単離 λファージ発現ベクターを用いて作製した、イネ芽ばえの緑葉由来のcDNAライブラリーから、ダルタチオン-S-トランスフェラーゼとの融合蛋白質をプローブとする、蛋白質間相互作用を利用したスクリーニング法により、♯61LよりもAD752に対して、より高い結合特異性を示す蛋白質をコードするcDNAクローンの単離に成功した。塩基配列解析の結果から、αヘリックスのコイルドコイル構造を有する未知の蛋白質をコードすること、また、転写産物とのサイズの比較から、このcDNAクローンは完全長cDNAを含まないことが、推定された。今後、結合の特異性について確認を行うとともに、全長cDNAの単離を目指す予定である。
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