1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物PMSAPキナーゼの活性化機構と細胞内情報伝達系の解析
Project/Area Number |
09740596
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宇佐美 昭二 広島大学, 工学部, 助教授 (80242816)
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Keywords | 傷 / プロテインキナーゼ / 細胞内情報伝達系 / シグナル伝達 / 傷害 |
Research Abstract |
本年度はタバコPMSAPキナーゼの変異遺伝子を持つ植物体の作製とその下流遺伝子の解析を行うにあたり、PMSAPキナーゼの精製とアミノ酸配列の決定、及びPMSAPキナーゼの上流因子の解析を行った。 タバコPMSAPキナーゼの精製条件を検討したところ、大変不安定なタンパク質であり、その安定した抽出と大量精製は現在も検討中である。現在までに、タバコ培養細胞BY-2を出発材料として、PMSAPキナーゼの活性化条件、抽出条件、タンパク質精製条件(陰イオン交換カラム(mono-Q)、逆相カラム(フェニルセファロース)、ヒドロキシアパタイトカラム、ポリLリジンカラム等)の検討を行い、数千倍にまで精製を行うことができた。アミノ酸分析の結果、N末端残基の修飾が確認され、現有サンプルのみではアミノ酸分析には不十分であることがわかった。現在、大量精製に向けスケールアップの条件検討を行っている。また、この精製の過程でPMSAPキナーゼと挙動を共にし、in vitroアッセイにおいてリン酸化される分子量50kDaのタンパク質の存在を確認している。この50kDaタンパク質はPMSAPキナーゼの下流因子である可能性があり、更なる研究が必要であると推測される。 一方、PMSAPキナーゼの上流因子の探索の結果、動物において三量体Gタンパク質に作用することが知られているマストパランにより恒常的に活性化されることが明らかとなった。この結果はPMSAPキナーゼの上流に三量体Gタンパク質の存在が示唆している。高等植物の三量体Gタンパク質は遺伝子の相同性から分離されているものの、いまだ機能が明らかにされていない。これらの結果は、植物における三量体Gタンパク質の機能の解析に有用な情報を与えると考えられる。
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